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暴挙か?快挙か? マサバTAC超過問題

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まず最初に次の文書を見てください。

http://www.jfa.maff.go.jp/release/19/031401.htm

平成19年 3月14日 水産庁

大中型まき網漁業によるサバ類を目的とした採捕の停止について
 
今般、大中型まき網漁業によるサバ類の採捕数量が、同漁業に配分している平成18年漁期の漁獲可能量(TAC)を超過した事実が判明した。このため、3月14日付けでサバ類のTAC管理団体である(社)全国まき網漁業協会に対し、サバ類の採捕を目的とする操業を自主的に停止するとともに、今後、このような事態が生じないよう改善措置計画を策定するよう求めた。
(参 考)

1 平成18年漁期(平成18年7月~平成19年6月)のサバ類TACは58.8万トンであり、このうち大中型まき網漁業に29.6万トンを配分。
2 サバ類の総漁獲量は、現時点において、平成18年漁期のTACの総量(58.8万トン)を超えていないが、大中型まき網漁業による採捕量は、北部太平洋水域での漁獲が高水準であったことから、2月末時点で36.2万トンに達しており、前述のTAC数量を6.6万トン超過。

要するに、大中まきがTACを超過する漁獲をしていたから、水産庁に注意されたということ。
その背景を動画で説明しよう。 

Comments:5

ある水産関係者 07-04-27 (金) 21:23

「快挙」は少し褒めすぎでは?、と思います。
確かに、期中改訂しなかった点については評価できますが、この問題の取扱いを巡り、水産庁と漁業者サイドで相当やりとりがあったことから判断して、冷静に考えれば話し合いの結果、最終的に双方が傷つかない線に落とし所を作った(つまり、水産庁は期中改訂をしないことで面目を保ったし、漁業者は実質的な終漁時期に「サバ類の採捕を目的とする操業を自主的に停止」することにより実害を最小化)、というのが真相ではないでしょうか?
漁獲量の集計システムにある程度のタイムラグが存在するのはやむを得ないでしょうが、ここまで大幅にTACを超過するまで手を打てなかったというのは如何なものでしょうか。2月末時点の漁獲量(大幅超過)が少なくとも3月14日には判明していた訳ですから、超過する間際のタイミングはもっと早く判っていたはずです。昨年末の時点で、サバ類の漁獲状況からTAC超過は十分予想の範囲内だったため、本気でTACを守らせる気があれば、もっと早くに手を打つことが出来たでしょう。その間、3月14日の発表があるまで、水産庁が漁業者に向けて「TACをオーバーする可能性が高いからこれ以上漁獲しないように」といったメッセージを発信することは十分可能だったと思います。果たして、そのようなメッセージの発信があったかどうか・・・? 無かったとすれば、やはり、双方が妥当(?)な落とし所を模索していたのでは、と勘ぐってしまいます。
問題は、今回の事件を教訓に、水産庁がTACの管理システムの欠陥を認識し改善できるかどうか、少なくとも、改善しないといけないという問題意識を持つかどうか、にかかっていると思います。例えば、漁獲量の集計間隔をもっと短縮する、漁獲量の超過サインが見えてきたら(例:90%を超える等)イエローカードを提示する、超過分については翌年の割当てから差し引くなど、他の国や国際機関でごく当たり前に実行している制度を取り入れることを含め、これから水産庁自らがやるべきことは山のように存在します。少なくとも、問題の処理を「(社)全国まき網漁業協会に対し、・・・・・今後、このような事態が生じないよう改善措置計画を策定するよう求めた。」のように他人任せにして「はい、お仕舞い!」なんてことで終わらせて欲しくないですね。

県職員 07-05-08 (火) 8:45

我が社のTACシステムは3ヶ月以上壊れたままです。業者に言っても治せません。困ったものです。

勝川 07-05-08 (火) 15:08

ある水産関係者さん
マサバのTACを守ったからと言って、マサバは守られません。
なぜ守られないのかという話を近いうちにします。
ただ、今まで全く無意味だったTAC制度が意味を持ったことは評価できます。
赤点には違いないですが、0点が1点になった違いは大きい。
変化の芽はあるわけですから、
これを如何に育てていくかが問題です。

県職員さん
97年からだから、10年以上故障中ですね(笑

資源管理の方法は、世界的にも確立されていません。
完成品を納品することは不可能なんです。
だから、試行錯誤をして、システムを改善していかなければならない。
道のりは遠いです。

県職員 07-05-09 (水) 18:15

我が社のPCのシステムが壊れたのは3ヶ月前ですが,勝川さんがおっしゃるように,TACシステム本体は10年以上壊れているのかも知れません。

勝川 07-05-25 (金) 14:23

国連海洋法の絡みで資源管理をやらざるを得なくなって、
TAC制度を形式的に導入したのです。
故障中というか、そもそも飾りだったわけです。

その後の世論の高まりもあり、
「飾り」ではすまされない状況になりつつある。
さて、これからが見物ですね。

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