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福島県の漁業の復興 その1


福島では、震災以降、漁業がほぼ停止している。月に2回ぐらい試験操業が再開されたものの、放射能検査の関係で、地元にわずかな量が出荷されているだけ。東電からの補償で、福島の漁業者は当面の生活はできるものの、何時になったら、漁業が再開できるのか、先が見えない状況が続いている。漁業に見切りをつけて、他の場所・職種に移動してしまった人も多く、漁業が再開できたとしても震災前の1/3程度の漁業者しか残らないという予測もある。

明るい要素もある。3年の禁漁の結果、海の中の魚はすごい勢いで回復しているそうだ。試験操業では、これまで2時間引いていたのが、30分で網が一杯になるという。福島県の水産試験所の調査でも、ヒラメなどの底物は3倍に増えたという。

状況を整理しよう

条件1)放射能検査のために、水揚げ量が規定される
条件2)水産資源は総じて回復している
目的)漁業者の減少を食い止めつつ、地域の漁業を復興させる

水揚げ量が増やせない状況で、出来るだけ多くの雇用を維持するには、単価を上げるしか無い。当たり前の話なのだが、それ以外の選択肢は無いのである。単価をどれだけ上げられるかが、福島の漁業の復興の速度、および、どれだけ多くの漁業者を残せるかに直結する。

これまでも述べてきたように、日本の漁業は「早い者勝ちで多く獲るのが正義」を実践してきた。その結果として、水産資源は減少し、未成魚中心の価値の低い漁獲で、価格崩壊を引き起こしている。場当たり的に、獲れるだけ獲る漁業で自滅をしてきたのである。

現状を打開するために必要なことは、「十分な親を残した上で、価値のある魚を安定供給する漁業への転換」である。多くの漁業国がすでに「質で勝負する漁業への転換」を終えている。どうやって、転換したかというと、個別漁獲枠制度の導入である。漁獲量に上限を設けることで、「多く獲る」という選択肢を無くしてしまえば、収益を増やすための選択肢は高く売れるものを狙って獲る以外に無くなる。漁獲量を厳しく制限することによって、漁業者のインセンティブを多く獲ることから、単価を上げることへと切り替えたのである。

資源管理を始める際に問題になるのが、「獲らなければ魚が増えるのはわかるが、その間、どうやって生活するのか?」という問題だ。すでに資源が大幅に回復している福島では、この問題もクリアしている。質で勝負する漁業に方向転換をするために必要な条件が、福島県ではすでに満たされているのだ。

福島の漁業者から、相談を受けて、地元の市会議員だとか、魚屋だとか、いろんな人を集めて、漁業の復興について議論をしてきた。地域の取り組みとして、質で勝負する漁業への転換をすれば、別の未来につながる地域漁業が創出できると確信した。そのためには、「質で勝負する漁業」のビジョンを当事者にもってもらうことが重要。ということで、すでに質で勝負する漁業に転換をした実例を見てもらうために、福島の漁業者と共に、静岡県の由比港漁協を訪問した。(つづく)

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