- 2007-01-24 (水) 8:00
- その他
水産資源学者の社会的役割は、資源の現状を正確に伝えることだろう。
現在の資源の生産力はどのぐらいで、それに対して漁獲圧はどのぐらいで、
現状が続くと将来どうなるのかといった情報を発信する義務がある。
さらに、資源を持続的に利用するには、どうするべきかという提言も必要だろう。
これらの義務を果たす機会から逃げてはならない。
自分の知っている範囲で、資源と漁業の状態を説明して行くつもりである。
マイワシは世界で有数の生産性をもった資源であり、
たった一種で日本の漁獲量全体を左右するようなポテンシャルを持っている。
マイワシが豊漁であれば、日本の沿岸全体が広く潤う。
また、漁業者ばかりでなく、加工業者や養殖業者への影響も大きい。
にもかかわらず、マイワシがどのような状態にあるかは、ほとんど知られていない。
一般人はもとより、水産関係者であっても、状況は理解されていない。
マイワシ資源のことをちゃんと理解している人間は、ほんの一握り。
内輪の会で、その一部の人間が「このままじゃまずいよね」と言う。
残りの人間が「でもしょうがないじゃん」と答える。
こういう会話が内部で繰り返されるだけで、情報は外へは流れない。
マイワシで生活が左右されるのは、一部の漁業者だけではない。
沿岸の漁業者や加工業界なども含めて、マイワシに関係する業界の人間には
正確な情報を流す必要があるはずだ。
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