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マグロの国際規制に関する予習資料

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マグロの輸出規制は、1992年からの歴史的経緯を追っていくと、「ああ、ついにきちゃったね」ということになるんだけど、国内ではそういう歴史を追えるような情報がない。マグロ保全問題について知りたければ、とりあえず読んでおくべき本をまとめておこう。


マグロは絶滅危惧種か (ベルソーブックス)

まずは、遠洋水研の魚住さんの本。この本に目を通すと、大体の状況と、日本の業界サイドの言い分がわかる。ただ、この本が出てから状況はだいぶ動いていることには注意が必要。


飽食の海―世界からSUSHIが消える日

逆の視点から理解するには、この本がおすすめ。日本ではさっぱりだったけど、原著『 The end of the line』は、欧米で大ヒットし、世論に大きな影響力を与えた。賛成する、しないは、べつとして、こういう本が受け入れられて、世の中を動かしつつあると いう現実は知っておくべきだろう。

飽食の海の212ページから、IUCNマグロ問題に関する記述がある。

日本は、会合の場でこそ抗議しなかったが、国に帰るや否や、猛攻を開始した。”漁業”は世界的な産業だから、それに悪影響を及ぼすようなことなど認められないのだった

最初のセッションで日本が立ち上がり、マグロについて抗議した。総じて参加国には悪い態度が目立ちったが、いくつかの漁業国は「極端に欺瞞的だった」ことを覚えている、と博士は言う。

と、日本に手厳しいです。日本人は、消費者としての責任を問われている。


IUCNの日本代表の松田裕之さん(横浜国立大学教授)は、本書を「一貫性を欠く非理論的主張」と一刀両断。こちらも必読です。

漁業と魚食を批判する欧米世論 : チャールズ・クローバー「飽食の海」を読んで
日本水産学会誌 72(5)  pp.995-998 2006
http://ci.nii.ac.jp/Detail/detail.do?LOCALID=ART0007920925&lang=ja


それから、俺もちょっと書いているんだが、こんな本もあります。IUCNの基準や計算方法など、詳しいことも書いてあります。残念ながら、非売品。

ワシントン条約附属書掲載基準と水産資源の持続可能な利用
http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2004/CITESbook.html

まだ、余部があるので、欲しい人にはあげます。ただし、三重大まで取りに来れる人限定(笑
三重まで来るのが面倒な人は、発行元の自然保護協会に問い合わせてみると良いでしょう。

Comments:2

kato 09-09-18 (金) 13:23

マグロ相場の推移を知らないので何とも言えないのですが、
リーマンが2008年 9月15日なので、1年前との値段の比較は時期的に微妙なのでは。
こちらの影響はどうなのでしょう?

勝川 09-09-21 (月) 17:47

正直、切り離すのは無理ですね。
本題とは関係ない前振りの部分なので、すべてカットしました。

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