- 2007-11-09 (金) 4:35
- その他
調査捕鯨は、副産物である鯨肉をうることで費用を捻出している。
大まかに言って、鯨肉販売の利益が50億円で、国からの補助が10億ぐらいかな。
調査捕鯨の資金を捻出するために、鯨肉の価格は非常に高く設定されている。
1kg2~3千円という価格設定のせいで、供給は非常に限定的である。
調査捕鯨の量は増やしたけど、その分値段を下げないと売れないようで、
やっぱり鯨研は火の車という話である。
この状況でノルウェー、アイスランドの鯨肉が安価で入ってきたらどうなるだろう。
ノルウェーなら、赤身が1kgがたったの600円である。
この値段なら、外食、中食を問わず、至る所に鯨肉が顔を出すだろう。
300円の鯨竜田丼だって、登場するかも知れない。
新しい食の選択肢がぐっと増えて、俺のような貧乏人の食生活が少し豊かになるだろう。
その代わり、べらぼうな値段を付けている日本の調査捕鯨の副産物は不良在庫となり、
調査捕鯨は資金的に成り立たなくなるだろう。
この捕鯨利権の問題こそが、いったんは合意した鯨肉の輸入を阻んでいる最大の要因だろう。
米国が反対するのはわかりきっていたわけで、それが理由で変節したわけではないだろう。
また、北大西洋の鯨肉には水銀やPCBの汚染が取りざたされているが、眉唾である。
確かに脂身には汚染物質がたまりやすいが、
アイスランドが輸出しようとしていたのは、汚染が少ない赤身である。
日本近海で獲られている小型鯨類の脂身よりよほど安全であろう。
ノルウェー・アイスランドの安全基準に不備があるなら、
日本から基準を示して対応してもらえば良いだけの話である。
そういう要求を日本側が出したという話は聞いたことがないので、変節理由はここでもないだろう
汚染の実態に関しては、専門分野ではないので、なんともわからんとですたい。
こんど宮崎先生にお目に掛かる機会があったら、その辺を質問してみよう。
今現在、高い金を出して鯨肉をありがたがって食っているのは、中高年のノスタルジーであろう。
値段の価値があるかというと、正直微妙というか価値は無いと思う。
料理の盛り合わせに1品入ってくるようなクジラ肉が美味しかった試しがない。
俺がまた行きたいと思ったのは、札幌の「おばんざい くじら亭」ぐらいだろうか。
今のままでは、鯨食の裾野は広がっていかずに、じり貧だろう。
鯨肉にノスタルジーを感じる世代がいなくなれば、それで終わりである。
これでは文化とは呼べないだろう。
日常的に食べてこそ文化であり、調査捕鯨では鯨食文化は守れない。
逆に日本人が日常的に食べれるほど獲ったら、どう見ても調査ではないだろう。
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