水産庁は、漁獲可能量(TAC)を見直す方針を固めた。TACの大半が、資源枯渇を防ぐ目安となる生物学的許容漁獲量(ABC)を上回り、専門家の批判の対象になっているためだ。ABCを上回るTACを設定する傾向は以前から続いており、サバは漁獲量がTACを超えたこともある。こうしたTAC設定の理由について、水産庁は「漁業者の経営が成り立つかどうかも考慮している」と説明するが、専門家は「資源管理が機能していない」「TAC設定の根拠が不透明」などと問題視していた。
近く発足するTACのあり方を議論する会合では、ABCを超過するTACをできるだけ解消する方向で、より厳格な資源管理の方策を議論する。また、漁獲総量がTACに達した時点で操業を打ち切る現在の管理方式は、総量に達するまでの間、漁業者間の過剰な漁獲競争を招く恐れも指摘されており個別の漁業者に漁獲枠を割り当てる方式の導入も検討する。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/85241.html
北海道新聞の記事です。一般紙でも、資源管理の話題が出るようになりましたね。
誰だか知らないけど、専門家はGJだな。
これは、わかりやすくまとめられている、良い記事だとおもいました。
1)ABCを超過するTACをできるだけ解消する方向で、より厳格な資源管理の方策を議論する
2)オリンピック方式からIQへの移行も検討する
という結論に関しても妥当ですね。実際にABCとTACの乖離を少なくする方向で動いているようです。
(ただし、現在のTACにあわせてABCを上げる圧力が強まっているので注意が必要です)
また、IQの導入も時間の問題でしょう。オリンピック方式を続ける理屈がないですから。
ゆっくりではありますが、資源管理をちゃんとやろうという方向に世の中は動いています。
だから、資源管理反対派は相当に焦っているようですね。
「ABCなんて無視しても良い」と吠えている人もいますが、ごく少数です。
言っていることが支離滅裂だし、世間の支持は得られていないので、放置しておけば良いでしょう。
TAC制度に関しては、導入の経緯からしてグダグダだったので、
最初の数年は資源管理として機能しないのはしょうがない面もある。
ただ、TAC制度が始まって10年が経過しているのだから、
「制度として未完成である」などという言い訳はさすがに通用しない。
「(A)今までは管理できていなかったけど、これからはまじめにやります」ということであれば、
過去についてはとやかく言っても仕方がないでしょう。
しかし、「(B)今までもTAC制度は機能していたし、これからも同じようにやります」と開き直るなら、
過去に遡って、TACの設定根拠の妥当性が徹底的に追求せざるをえない。
俺としても、日本の漁業をどうやって良くしていくかを前向きに議論していきたいので、
(A)のTAC制度をきちんと見直すという方向でお願いしますよ、本当に。
今回の見直しには世間の注目が集まっているので、いい加減なことは出来ない。
逆に、ちゃんとした見直しをすれば、水産庁の株はぐっと上がるはずだ。
特定漁業者の顔色ばかりをうかがわずに、
納税者全体に対して、水産庁の存在意義を示して欲しい。
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