水中ストロボ

の「ドラ○もーん、せっかく巻いた魚が、網の下から逃げちゃうんだ。これじゃあ、一網打尽とはいえないよ」
ド「そんなときには水中ストロボ!!
まき網の網口を閉じるときに、下からこのストロボをたけば、おどろいた魚が網口から逃げられなくなるんだ」

の「すごい。これなら、ぼくでも、一尾のこらず、一網打尽にできるね。ありがとう、ドラ○もん。」

最近、巻き網漁師の間で、「ピカ」という道具が広まっています。魚の群れをまき網で巻くときに、一部の魚が網口から逃げてしまう問題がありました。網口の外側でストロボを炊くと、ビックリした魚が網口と反対側に逃げるで、網から外に魚が出るのを防ぐことが出来る。水中ストロボを使うと、ほぼ取り逃がしがないということで、瞬く間に広がりました。詳しい仕組みは、業者のサイトをご覧ください。

さらに悪いことに、沿岸の刺し網が、これを藻場で使っているという話。藻場のそばに刺し網を仕掛けておいて、藻場の反対側からストロボを炊くと、あわてて逃げた魚が、刺し網にかかりまくるらしい。これを使えば、藻場に隠れていた稚魚も根こそぎ獲れてしまう。稚魚の成育場所でこんなことをしたら、資源の再生産に甚大な影響を与えることは明白だろう。米国は、稚魚の成育場所(Essential Fish Habitat)は、漁船が入ること自体を禁じている。入っただけで2000ドルの罰金です。まともな国なら、こんな漁法を野放しにしておくなど、あり得ない話であり、船に摘んでいるだけで違法にしても良いぐらいです。

こんな漁具は、即刻禁止すべきだと思うけど、例によって、水産庁の大部分は、こんなものがあることすら知らないだろう。研究者も、漁具の進化など考えずに、以前と同じように獲ってることを前提に資源評価をする。結果として、「小さい魚が多く捕れるから、小さい魚が増えたに違いにない。来年の漁獲枠を、ドーンと増やしましょう」とか、ピントのずれたことをする。困ったものです。

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水中ストロボ への2件のフィードバック

  1. ネコ のコメント:

    リンク先の業者のパンプレットを見ました。
    水中ストロボを最大80回/分で60分、瞬間的な大光量の連続発光で電力消費はどれだけに上るでしょう。
    交換が容易とありますが、電球寿命も相当短そうですね。
    集魚灯をLEDに切り替えようというご時世に、Ecological Footprintの観点からも、とても誉められない気がいたします。
    乱獲につながる新漁法の導入に拒絶感を抱くことのできた、日本の素晴らしい漁業の伝統はどこへ行ってしまったのでしょうか?
    いきすぎた科学技術オプティミズムは、漫画の中だけにしてほしいです・・

  2. 勝川 のコメント:

    ネコさん

    ちゃんと漁獲量が決められているなら、目くじらを立てる必要も無いのですが、
    運良く逃げ延びた少数の親魚しか産卵できていない現状では、
    こういう道具が無規制に広がるのは、とても良くないことです。

    こういうことには、本当に知恵がまわるものです。
    長い目で見れば、自分で自分のクビを絞めているだけなのですが・・・

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