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日本の漁業者は、甘やかされているが、大切にされていない

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ノルウェーの漁業者は大切にされているが、甘やかされていない。
日本の漁業者は甘やかされているが、大切にされていない。
この違いがわかるかな?

ノルウェーでは、漁業への補助金はほとんど無い。
漁業者がけがや病気で働けなくなったときの生活保障ぐらいらしい。
その代わり、最低価格制度やオークションなど、
漁業者が漁業から安定した収益をえるための社会制度が整っている。

一方で、日本の漁業者は社会的な保証がない中で、厳しい競争にさらされている。
生き残るためには乱獲をしないとどうしようもないような状況が放置されているので、
漁業から得られる収益は減る一方である。
本来は、漁業と社会のあり方を変えないといけないのに、
補助金というあめ玉でごまかされている。

補助金の額だけみれば、日本の方がよっぽど恵まれているが、
社会に支えられて、安定した生活を営むことができるノルウェーの漁業者の方が
日本の漁業者より、よっぽどハッピーだよ。

基本的な部分を変えないと駄目だ。
そう実感した。

Comments:5

ある水産関係者 07-10-29 (月) 22:31

日本の漁業者はお役人(達)の私利私欲のための単なる「ダシ」にされているだけ。決して、「甘やかされている」というような、少しでも相手(漁業者)を思いやる気持ちなど、微塵も持たれていないと思います。現に、役所は漁業者のわがままを全て聞き入れるのではなく、役所自身(お役人)のためになることしか手をつけません。予算が取れるとか、政治家の票集めにつながるとか・・・。

 さて、お役人(達)の私利私欲のためのダシにされているのは、何も漁業者に限った話ではありません。
 社会保険庁の年金猫ババや支払い記録大量破棄、厚労省の薬害肝炎感染者隠匿、警察の無実の市民を服役させた冤罪事件、防衛省の国防機密漏洩や守屋元次官のストレス解消のためのゴルフ接待、等々、お世辞にも「お役人さまは国民のために一生懸命働いてくれている、ありがたやありがたや!」なんて言えたものではないでしょう。

 日本政府の役人天国と国民軽視の風潮は、今に限った話ではなく、古くは8公2民や9公1民と言った重い年貢や、神風特攻隊に象徴される国民の命を虫けらの如く扱った戦時中の歴史など、残念ながら、日本社会の本質を突いた根深い伝統として、現在に至るまでしっかりと定着しています。

 このように考えると、漁業政策が改まるためには、単に、大本営が生まれ変わっただけでは不十分でしょう。国民とお役人との関係、つまり民主主義に対する日本政府全体、そして日本国民全体の認識が改まる必要があります。
 これらの課題は、かなりの難題で、日本人得意の外圧によってのみしか解決の糸口が見出せないかも知れませんね。

勝川 07-11-01 (木) 16:14

漁業は必ず変われると思います。

漁業に関する利権システムが支配できるのは、漁業関係者だけです。
それ以外の一般納税者にとって、
非持続的な現在の漁業は納得できないでしょうし、
乱獲資金をばらまいているような水産政策は理解を得られるはずがない。

今までは、漁業に関する情報を都合良く流すことで、
世論をコントロールしてきましたが、もう限界でしょう。
早急に軌道修正しない限り、遅かれ早かれ社会保険庁のようになるでしょう。

まあ、どちらにしても、今のままで通るはずがないのは明白です。

beachmollusc 07-11-02 (金) 18:42

勝川さんの楽観的な見通しが実際にそうなることを祈りますが、現実の問題として、公務員のやりたい放題の悪行は世間一般の眼が届かないところほどひどいようです。

水産庁は林野庁と同様かあるいはそれ以上でしょうか。沿岸水産資源の涵養で、森と海の関係が見直され、漁業者が植林するようなことが流行しています。しかし、水源涵養と称して実際は山林に大型重機を入れる林道建設が誘引となって、人工林の樹木ごと斜面崩壊を誘発する事業を推し進め、大雨の時には海岸と漁港を流木が埋め尽くすような状況です。林野庁はいらない、日本の国土の将来のために林野庁を廃止せよと訴えているブログがあります。
http://blog.livedoor.jp/rokuten1/

ある水産関係者 07-11-03 (土) 0:37

「漁業は変われる」かどうか、という命題には私も”YES!”です。ただし「変わる」時期が問題です。このままでは大多数の資源が「涸渇」状態に至ってから初めて国民の目が醒めると言うのが最も可能性が高いシナリオでしょう。

 大本営の情報操作もさることながら、どう贔屓目に考えても国民の資源に対する関心は相当低いと言わざるを得ません。それは昨年来のマグロ事件の反応を見ても明らかです。
 その理由は…?

 そもそも日本国民は水産資源そのものが漁業者の所有物であり、自分たちは資源管理に関与出来ない立場にある、と「誤解」しているところが大きいと思います。川で魚釣りをするのに漁協に入漁料を払ったり、あちこちの海岸で「ウニ、アワビは漁協の許可なく採捕禁止」と言った看板を見せつけられてきた経験則から、国民の頭の中で「水産資源=漁業者の所有物→資源管理に口出し出来ない」という思考回路が出来上がったと考えても不思議ではないと考えます。

 また、そのような背景から、「200海里の資源管理は国家(国民)の義務」という国際約束も、日本国民の頭の中では「自分達にはアンタッチャブルな世界」と整理してしまった、と考えても仕方ないでしょう。日本は海洋法を批准しても国内法を真面目に整備(担保)していないのですから…!?。

 ただ、仮に日本国民が資源管理を「自分たちの義務」と気付いたとしても真面目に取り組むかどうか、にも大きな疑問を感じます。
 私は真に日本国民が資源管理の重要性に気付くのは、残念ながらこのままでは、輸入品を含め、魚が本当に自分たちの口に入らなくなった時だと思います。

 ただし、希望はゼロではありません。それは資源の衰退以上に日本経済(財政)が悪化して、不公平な補助金や税金の無駄遣い以外の何者でもない役人の天下りが徹底的に見直されるとともに、同時に大本営や漁業の抱える様々な矛盾に国民の厳しいメスが入ること。

 「賢者は歴史に学ぶ、愚者は経験に学ぶ」と言われます。…が、既に数多くの歴史に学べなかったのが日本の漁業、資源管理の実態です。何故そうなったか? 資源管理のみならず、全てのことについて大本営も国民も目先のことしか考えず、将来については考える余裕の殆どない思考停止状態に陥っている、のが最大かつ厄介な病巣です。もっと正確に言えば、考える余裕があった時に何もしなかった、と言うことです。

 下降線を辿っている経済情勢の中、生活を維持することで頭が一杯の国民や大本営に高いモチベーションを期待する方が無理かも知れません。日本の漁業は、もはや欠陥がボロボロに傷ついた重症の糖尿病患者に等しいと思いますが、勝川さんはじめ真の問題意識を持った人達が知恵を絞って、何とか不可逆状態の「ジリ貧」になる前に、資源も漁業も風向きを変えたいものです。

勝川 07-11-05 (月) 16:40

beachmolluscさん
紹介いただいたブログを拝見しました。
口実さえあれば、何でも土木工事にしてしまうのですね。
目が届かない場所ほど酷いことになるというのはその通りでしょう。
水産資源についても、もっと外に情報が流れるようになれば、
行政的にも変わらざるを得ないでしょう。
このあたりは、メディアに期待ですね。
ようやく水産資源に関する話題もメディアに取り上げてもらえるようになり、
ずいぶんと風向きが変わってきたと思います。

ある水産関係者さん
ノウルェーで、漁業者は魚は自分たちの私有物だと思ってないか質問したのです。
「8海里以内の沿岸は、たしかにそういう意識はあるが、
200海里に関しては国際条約で権利が保障されているので、
明らかに国家のものだと皆が認識している」とのことでした。
この答えを聞いて、根っこの部分が違うと痛感しました。

>不公平な補助金や税金の無駄遣い以外の何者でもない役人の天下りが
>徹底的に見直されるとともに、同時に大本営や漁業の抱える様々な矛盾に
>国民の厳しいメスが入ること。

補助金をばらまいてもろくなことは無いので、
是非とも水産に関しては財政引き締めをお願いしたいですね。
まあ、俎上にのるのは時間の問題でしょう。

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