中日新聞:水産資源 持続可能な管理を サバ 幼魚乱獲、枯渇に拍車:暮らしCHUNICHI Web

しかし、水産資源管理に詳しい三重大生物資源学部の勝川俊雄准教授は懐疑的だ。「水揚げの九割を魚齢一歳までの未成魚が占め、産卵可能な成魚はほとんどいない。漁獲量を算定する科学的根拠もあいまいで、資源回復の芽を摘んでいる」と指摘する。

引用元: 中日新聞:水産資源 持続可能な管理を サバ 幼魚乱獲、枯渇に拍車:暮らしCHUNICHI Web.


サバの取材が来たので応じた。品川駅で1時間ほどの取材。記事全体としては、適切に日本漁業の問題をとらえていると思う。しかし、俺のコメントがいただけない。この日は、サバとマグロの話をしたのだけど、水揚げの九割を魚齢一歳までの未成魚が占めているのは、マグロの方だ。

マサバは、当たり年を食いつぶすような操業をしているので、当たり年が何歳かによって、漁獲の中心がずれる。2004年が当たり年だったから、2006年の漁獲の中心は2歳魚であった。持続的な漁業のためには、次の当たり年が確認できるまで、当たり年生まれを残すような獲り方をする必要がある。現在、2007年の小当たり年生まれを獲り尽くし、09年生まれを獲りだしたので、また、回復の芽を摘んでしまいました。

こういう漁業は、どんどん批判をしないといけない。しかし、批判をするなら、正確にすべきである。こういう勘違いを避けるために、出向する前に文字原稿をチェックする事にしている。こんな初歩的なミスは、専門家なら一目でわかる。今回は気がついたら記事が出ていて、さらに間違えていたので残念です。内容は素晴らしい記事だけに、実にもったいない。

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乱獲で太平洋クロマグロが危機 大型魚減少、保護策必要に

乱獲で太平洋クロマグロが危機 大型魚減少、保護策必要に
日本が大量に漁獲している太平洋のクロマグロは、産卵能力のある大きな魚が減るなど資源状況が悪化しているとの分析結果を三重大の勝川俊雄准教授らが11日までにまとめた。大型の魚の乱獲が進んだ結果、3歳以下で成熟前の小さな魚や産卵前の魚が漁獲の対象になるという、悪循環が進んでいるとみられる。
http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010051101000163.html

「日本海での巻網操業が本格化してから、近海物の大きなマグロが減った」というのは、マグロを扱う人間の共通認識だろう。大間はかろうじて漁獲量を維持しているのだが、それは高価なソナーなどの電子機器を惜しみなく導入した結果である。資源の減少は顕著であり、昔ながらの装備の船の漁獲はほぼゼロだ。また、200kg程度の大型魚をコンスタントに水揚げしていた石垣の某漁協でも、今年の水揚げは激減している。

19年 500本程度
20年 200本程度
21年 250本程度
22年  10本程度

例年、GWが漁獲のピークなのに、これでは商売にならない。

国内でゴールドラッシュのように広がった畜養も、黄色信号が点灯している。昨年度は、種苗となるヨコワの漁獲が激減したのだ。昨年の畜養マグロの出荷量は1万トンだったが、池入れ種苗が少なかったので今年は5千トンがせいぜいだろう。畜養フィーバーでヨコワの争奪戦が勃発し、価格は高騰している。こういう状況で、水揚げが半減したのだから、加入はさらに減っているはずである。クロマグロの加入も年によって変動するので、去年の加入がたまたま悪かったのか、それとも産卵量が激減し加入が維持できないのかは、現状では判断できない。今年のヨコワの漁期は7月から始まる。今年も何の規制もないなかで、0歳のヨコワを奪い合うのだろう。ここでも、もし獲れなかった場合、マグロ畜養バブルは弾けるかもしれない。

産卵場の巻き網操業で親魚が激減した上に、ヨコワ争奪戦で新規に成熟してくる魚も減っている。これでは、資源を維持できるはずがない。我々は、漁獲規制を作るように国に働きかけてきた。この声に応えてくれたのが、民主党の山田副大臣。水産庁は、太平洋クロマグロの漁獲規制をつくろうと調整と始めている。

今年も、6月から境港の巻き網、7月からヨコワ漁が始まる。規制は間に合わなかったので、漁獲枠もないまま、獲りたい放題の争奪戦が今年も行われるのは確実である。地中海は産卵場の巻き網操業だけで、2000年以降あれだけ減ったのである。日本近海は、2004年以降、産卵場の巻き網操業が活発化している上に、稚魚の争奪戦まで起きているのだから、地中海以上に危機的な状況にあると言って良いだろう。

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Vista で SMB over SSH

自分で建てたLinux ServerとWindows クライアントでファイル共有をするのに、便利なSMB over SSH

http://datafarm.apgrid.org/document/html/ja/user/smboverssh.html

これがVistaでは使えなくなっていた。

cannot listen to port: 445というエラーが出て、ポートフォワードができないのです。

いろいろ調べたら、Microsoftが余計な変更を加えたみたい。

http://social.technet.microsoft.com/Forums/en-US/itprovistanetworking/thread/d30d3c98-58c5-47f6-b5a5-f5620882020d

困っている人多数で、それを解除するツールがすでにあった。

http://www.sshvpn.de/のLocalSMB.exeを実行したら、無事にSMB over SSHができるようになりました。

めでたし、めでたし。

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クロマグロ騒動の問題点は… 元凶は日本人の異常な食欲

http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/100502/sty1005020700000-n1.htm
【現場発 ニュースを見に行く】クロマグロ騒動の問題点は… 元凶は日本人の異常な食欲

東大の大気海洋研の木村先生の記事だね。木村先生は稚魚の輸送などの専門家で、ウナギの輸送メカニズムの研究で有名な方だが、稚魚の飼育実験もされているので、養殖種苗の生産に関しても造詣は深い。木村先生のマグロ畜養に関する指摘はまったく正しい。よくぞ言ってくださった。

日本近海のクロマグロは、巻き網で捕らないなどの暗黙のルールが守られてきたが、最近は日本海でクロマグロの巻き網漁を行い、畜養する業者が出現。木村教授は、「これを続ければ、日本近海のクロマグロが大西洋・地中海産クロマグロ同様に国際会議の議題に上がる日も近い」と警鐘を鳴らす。

畜養向けのヨコワの漁獲はほとんどが曳き縄(釣りの一種)です。日本海の産卵場で成魚をまき網で巻いていますが、畜養をしているのは極一部であり、ほとんどが境港→築地ルートで食用として消費されます。また、近年、巻き網のヨコワの漁獲が増えています。これもほとんどが食用です。畜養は伸びていますので、気がかりな要因ではありますが、やはり未成魚(ヨコワ)の消費にメスを入れる必要があるでしょう。

日本近海は、大西洋よりも無秩序だから、へたをすると、国際会議の議題になる前に、クロマグロはいなくなる。国際会議ではなく、資源枯渇の心配をすべきだろう。最近、韓国での漁獲が急増しているので、むしろ資源枯渇を防ぐために国際会議や国際条約を利用していく必要があるでしょう。

そこで期待されるのが、クロマグロを卵から育てる完全養殖。国内でも成功例はあるが、「とても効率が悪く、実用は現実的ではありません」と木村教授。

これは、正しい指摘。専門家の間では、常識なんだが、声に出して指摘する人は少ない。木村先生、GJ。クロマグロ養殖とウナギ養殖は、技術的に一歩進んだと言うだけで、実用化には、あと数百歩必要。「養殖技術があるから、もう天然魚はいなくても大丈夫だよね」という勘違いを誘うような報道はどうかと思うよ。

木村教授は、「資源量の枯渇の一番の責任は、消費者である日本人にあるのは明白です。地中海の乱獲をあおったのも、日本人の異常な食欲です。今回の騒動を機に、もう一度クロマグロの食べ方を日本人一人ひとりが考え直すべきでしょう」と話す。

後半部分は全面的に同意だが、前半部分は少し意見が違う。安く、安定供給できれば、消費が伸びるのは当たり前。いくら安くなったとはいえ、クロマグロは、それなりの値段で消費をされていたわけだし、「異常な食欲」と言われるほど、日常的に食べていたわけではない。

もちろん、資源量からすると、異常な量を消費しているので、それ自体は褒められたモノではない。ただ、これは消費者ばかりを責める訳にはいかない。つい最近まで、一般の人は、資源が枯渇していることも知らなかったし、不正漁獲が蔓延していることも知らなかった。日本人消費者には、自分たちの乱食が、地球の反対側のクロマグロ資源を枯渇させているという自覚は無かったし、未来の食卓からマグロを奪っているという自覚もなかったのだ。消費者に、この自覚を持たせるような情報を流すのが、研究者やメディアの社会的役割である。研究者とメディアは、この責任を果たしてきたとは、私には到底思えない。その責任を棚に上げて「消費者の異常な食欲」と非難するのはどうだろうか。

後半部分の食べ方を考えなおすべき、という指摘は全面的に賛成だ。「刺身といえばマグロ」というような風潮は、コレを機会に是正しなくてはならない。消費者は、持続性に対しても関心と責任感を持つ必要がある。そうしないと、未来の食卓は守れないと言うことです。

結論もふくめて、全体として、良い記事だったと思います。

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北九州周辺のマグロの水揚げ

俺メモです

韓国の動き

韓国にマグロの畜養の動きはまだ無い。

韓国サバ水揚げ(巻き網)福岡経由で日本市場へ

3/15  700本
3/16  500本
3/24  500本
4/1   150本

平均60kgが、1850本=111トン

日本船の漁獲

4/12 五島 600本
4/13 五島 60本 (20-30kg)
4/19 五島 124本(30-34kg)、 111本(23- 24kg)
4/20 五島 40本 (30-60kg)
4/21 五島 33本 (50-60kg)
4/26 五島 14本 (20-30kg)

韓国よりもややサイズが小さいので別の群れ?

30kg後半(3歳)から成熟開始なので、五島の漁獲の大半は未成熟。
初回産卵は卵質がわるいので、再生産に寄与するのは、50kg以降(4歳)か。


日本のマグロ畜養生産量の見通し

一昨年は、ヨコワを獲りまくったので、今年は1万トン出荷予定。
去年はヨコワ不漁のため、池入れが少なく、来年は5千トン出荷予定。

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みなと新聞の連載(37)

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みなと新聞の連載 (36)

みなと新聞 (2010 3/24 一面)に掲載


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欧州の食文化を破壊する日本の魚食 part 2

ヨーロッパウナギの方が、大西洋クロマグロより、資源状態は良かった

ヨーロッパウナギをワシントン条約に載せることが決定した2007年のハーグの締約国会議の前に、FAOの専門家パネルは、ヨーロッパウナギが付属書IIに該当するという勧告を出した。レポートはここ

ヨーロッパウナギの漁獲状況はこんな感じ。当時は、欧州の研究者のなかにも、不確実性が大きいし、規制の必要性を疑問視する声があった。

一方、タイセイヨウクロマグロの場合も、専門家パネルは付属書IIで完全に合意した。また、日本人以外のほとんどの研究者は、付属書Iを支持したのである。それもそのはず、近年の減り方が尋常じゃないのだ。次の図は、ICCATの科学委員会が推定した成熟魚の資源量である。

SSB(産卵親魚のバイオマス)のスケールに注目して欲しい。成熟年齢が長く寿命が長い種の親が10万トンを大きく割り込んだ状態で、毎年2万トンも輸出しているのだから、今の漁業が非持続的なことは一目瞭然だろう。漁獲にブレーキかけなければ、このままご臨終コースなのだけど、ワシントン条約では、付属書IIすら否決されてしまった。つまり、今後2年半はノー・ブレーキで逝く、という結論が出てしまったわけだ。さようなら、大西洋クロマグロ。君のことは忘れないよ。

上の2つの図をみれば、ヨーロッパウナギと、大西洋クロマグロのどちらが危機的状況にあるかは一目瞭然だろう。前回の締約国会議までは、まだ、科学者のアセスメントを尊重するという前提があった。今回はそれが完全に崩れてしまったのは残念なことである。

ワシントン条約を阻止したことで、日本人は、太平洋クロマグロを、最後まで食べ尽くす権利を得たわけである。あと数年で食べ尽くすだろう。その後には、何が残るのか。マグロが減りすぎるとどうなるかはわからない。産卵群が維持できずに消滅するのか、瀬付き(沿岸の小規模群集)として残るかのか。どちらにしても、漁業も輸入も維持できないことは明白である

地球の反対の乱獲された資源を食べ尽くすことが、日本の食文化なのか?

ワシントン条約の規制まで、日本人は、ヨーロッパウナギを大切に食べていたかというと、そうではない。ニホンウナギの下位代替品として、スーパーで山のようにたたき売りされていた。シェアを争う商社が、持続性も相場も無視して、ウナギをかき集めた結果、消費者は一時的に安く買えた。その結果として、資源は枯渇し、消費はほぼ消滅し、食文化自体を壊してしまったのだ。持続性を無視した乱消費によって、欧州およびアジアの未来の食卓のウナギを奪ったのである。ウナギは、年に何度か、晴れの日に食べる食材であって、本来はああいう食べ方をするものではない。土用の丑の日に、ちょっと良い店で、「今年のウナギはおいしいね」と言いながら、味わって食べていた昔の方が、よほど食文化と呼ぶにふさわしいだろう。

タイセイヨウクロマグロもウナギと同じような状況にある。輸入業者が、シェア争いで、相場も市場も無視して、マグロを買いあさった結果が、2万6千トンの冷凍在庫である。親魚量が8万トンを切っている希少種の冷凍在庫がこんなにあること自体が、恥ずかしことである。にもかかわらず、日本のメディアは、「当面は我々の食卓への影響はないようで一安心です」などという恥知らずなコメントを垂れ流し、視聴者はそれを当たり前のように受け入れる。こんな食べ方を「食文化」とかいって、へそが茶を沸かすよ。

大西洋クロマグロをヨーロッパウナギと置き換えて考えて欲しい。地球の反対の資源を最後まで食べつくすのが、日本の食文化なのか。どうせ、大西洋クロマグロは、たいして獲れやしないんだから、最後ぐらいは、地元・地中海の食卓に看取らせてあげたいと、俺は思う。紀元前から、マグロを食べてきた地中海沿岸の人間だって、今まで通りマグロを食べられるわけではないが、少なくとも、我々が食べつくすよりは正当な権利ではないだろうか。

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欧州の食文化を破壊する日本の魚食 その1

ヨーロッパウナギはどうなったか?

過去にワシントン条約で規制されたヨーロッパウナギの事例を振り返ってみよう。ヨーロッパウナギは、2007年から、ワシントン条約の付属書IIで規制されている。そのときも、日本メディアは、食卓の危機・食文化の危機などと騒ぎ立てたのだが、いざ規制が始まると、全く情報が途絶えてしまった。その後のことを知っている日本人はほとんどいないだろう。

ヨーロッパウナギは、今も全く回復していない。EUの管理の下で、漁獲は厳しく制限されているが、回復のめどは立っていない。水産資源は減らしすぎると、回復能力が著しく失われることが知られている。ある程度以上減らしすぎると、たとえ禁漁に近い措置を執っても、資源が回復しなくなるのである。ヨーロッパウナギ資源が回復するのに、数十年かかるのか、数百年なのかはわからない。もしかすると、回復しないかもしれない。

破壊されたスペインの伝統食文化

スペインのバスク地方では、お祭りの前の日にシラスウナギの伝統料理を食べる風習があった。シラスウナギが捕れなくなったせいで、この伝統料理が食べられなくなってしまった。シラスウナギ自体は、全くないわけではないが、1パック1万円では、庶民には手が出ない。その代わり、すり身でつくった偽シラスウナギを食べているのである。

代替品は、スケトウダラを原料にしたすり身を細長く加工し、背中の部分が黒くなっている。こったものは、目もついているらしい。百聞は一見にしかずと言うことで、写真を見て欲しい。Googleの画像検索で、baby+eel+surimiなどで検索すればいくらでも釣れる。すり身の代替品は、シラスウナギ特有の泥臭さが無いので、大人には物足りないけれど、子供からはかえって好評らしい。日本人が食べ尽くしたウナギの代替品が、ジャパンテクノロジーのすり身というのは皮肉な話である。

http://images.google.co.jp/images?q=baby%20eel%20surimi

規制直前まで、日本はヨーロッパウナギを2万トン輸入していました

俺の大先輩の立川賢一先生は、次のように書いておられる。

2001年から2005年までの平均で、日本におけるウナギの消費量は12.9万トンである。これは、年間で国民一人当たり1kg以上のウナギを食べている計算になる。加工品輸入量(活鰻換算)は8.4万トン、活生鰻輸入量は2.2万トン、国内の養殖量と天然漁獲量の合計は2.2万トンであった。日本のウナギ消費量の82.9%は外国からの輸入による。このうちニホンウナギの割合は75%程度と推測されている。

http://www.kasumigaura.net/asaza/event/unagi-tatukawa.html

ワシントン条約で規制される直前まで、ウナギは8万トンぐらい輸入されていた。ヨーロッパウナギは年間2万トンも輸入されていたのだ。ヨーロッパウナギが中国を経由すると、浜名湖産のニホンウナギになったりするので、実際にはもっと多いかもしれない。ヨーロッパウナギの現状を考えれば、「タイセイヨウクロマグロを2万トン輸入しているから絶滅のおそれはない」という日本政府の言い分はおかしいのである。むしろ、ここまで資源が減ってもなお2万トンも輸出があるからこそ、ワシントン条約での規制が議論されたのである。

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日本近海のクロマグロ漁業の現状 その3

2004年以降、日本海のマグロ産卵群は急激に減少している。壱岐や対馬など、朝鮮半島と日本の間の離島には、一本釣りで生計を立てている漁業者がたくさんいる。2003年までは、漁獲が安定しており、30代の若者もかなりの割合を占める。世代交代ができている日本では数少ない優良漁業だったのだ。マグロの一本釣りで有名な日本海離島の某組合のマグロの売り上げは近年激減している(下図)。一本釣りの2009年の漁獲はほぼゼロ。巻き網が産卵場で操業を始めてから、大型個体がみるみる減っているのだ。この組合は、若い漁業者も多い。30代中頃で、小さな子供を抱えている。借金をし て、船を買っているので、このままマグロがいなくなったら、どうなるかは容易に想像ができる。彼らの生活を守らなければならない。日本人が離島で生活をしているというのは、領土問題を考えても重要なことだ。壱岐や対馬の産業が無くなれば、竹島みたいになるのは時間の問題でだ。離島 で、自立して生活している人たちの生活を守るのは、国防上も非常に重要である。国として、取り組むべき課題である。


2009年には、巻き網の漁獲量も激減した。今年も、巻網船はクロマグロ産卵群の通り道で待機をしていたが、クロマグロが産卵場に帰ってこなかったのだ。クロマグロの泳ぐ水温帯は狭いので、複数の船団が横に並んでソナーで探せば必ず見つかるはずだ。にもかかわらず、獲れなかったと言うことは、産卵群が激減したと考えるのが妥当だろう。大型個体の減少は顕著であり、境港に水揚げされる魚の体重は小型化傾向がみられる。1980年代には、漁獲の平均体重が110-160kgであったものが、現在は50kg前後。08年から、境港市は「むやみに捕っている との誤解を招きたくない」として詳細なデータを隠すようになった。トン数は出すけど、本数は隠すようになったので、平均サイズを計算できないのである。ここでも、「くさいものには蓋」である。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/econpolicy/314718/

境港がいくら隠したところで、探すところを探せばデータは出てくる。境港で水揚げされたマグロはほぼすべて築地にいくので、市場統計を漁ればどんな魚を捕っているかは大体わかる。08年は50kg、09年も似たようなものだった。クロマグロは4歳で50%成熟する。そのときの体重がだいたい50kg(下図はhttp://kokushi.job.affrc.go.jp/H20/H20_04.pdfよ り引用)。その上のサイズがほとんど獲れないということは、ようやく成熟して産卵場に初めてやってきた親を、一網打尽で、ほぼ獲り切っているのであろう。これでは資源が潰れるのは時間の問題だ。

さて、このような現状に対して、日本の研究機関はどのような情報を発信してきたか。境港を擁する鳥取県の水産試験所は、一貫して、巻網漁業を擁護してきた。近年、漁獲が増えたのは、資源が増えたからで、持続性には問題が無いと主張してきた。去年は産卵群がなかなか戻ってこなかったのだが、7月には「境港近辺の水温がいつもより低いから、産卵が遅れている」と主張していた。結局、最後まで、魚がこなかったら、「今度は魚は北朝鮮に行っているに違いない」と言い出した。本当にマグロがいなくなるまで、あれこれ言い訳をつけて、資源が減ったことを認めず、最後は「マグロがいなくなったのは、地球温暖化にちがいない」と主張するのだろう。日本の公的研究機関では、良くある話。

日本海のクロマグロの分布が、ここ数年変化しているのは事実である。これまで少なかった韓国沿岸での漁獲が増えているので、探餌分布が北に移動しているようである。ただ、漁獲はほとんどが35kgぐらいで、漁期も産卵期前の3月なので、境港で獲っているマグロとは生活し段階が違う。韓国はすでに主要な漁業をIQで管理していて、資源が回復しつつあるという(現在、確認中)。マグロも餌が豊富な韓国にどんどん移動するかもしれない。摂餌期の魚が餌を追って分布を変えるのは良くある話なんだけど、どんな生物でも産卵場はそれほど移動しないことが知られている。クロマグロの産卵場が大幅に北に移動したという鳥取県水産試験所の主張は、可能性として低いと思います。

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