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マサバ Archive

日本のサバ漁業は、価格破壊ではなく、価値破壊

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魚の消費形態にもいろいろなグレードがある。

  1. 寿司屋、料亭などの高級食材
  2. スーパーや魚屋の一般鮮魚
  3. スーパーの特売用の鮮魚
  4. 缶詰、削り節などの加工品
  5. 養殖のえさ・中国アフリカ輸出

グレードが上の方ほど、値段が高いが、必要な量は少ない。数年前に、80年代に安い大衆魚であったマイワシが資源減少とともに高騰し、1尾1000円になったという報道がでた。マイワシの漁獲減によって、寿司屋や料亭で魚の奪い合いになった結果、こんな値段になったのであり、この値段でスーパーに並んでも誰も買わないだろう。また、寿司屋や料亭にしても個の値段では客に提供しない。寿司屋では、ネタの欠品は客足が減る原因になるので、採算割れを覚悟で、不足しそうなネタを仕入れるのである。

魚が水揚げされると、上の方のグレードから埋まっていく。高級鮮魚市場が満たされると、次に魚は一般鮮魚市場へと向かう。大中捲きが、調子に乗って千トンも水揚げをすると、鮮魚市場もいっぱいになり、鮮魚相場はガタガタになる。鮮魚市場からあぶれた魚が冷凍・加工に向かうことになる。このときに、冷凍設備や加工場がない港の余った魚は文字通り生ゴミになる。

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80年代にマイワシが豊漁の時代は、漁獲が全ての食用市場を見たし、質がよいマイワシが大量に養殖のえさになった。現在はサンマが食用需要を超える水揚げが続き、値崩れを起こしている。こういう魚は、養殖の餌や輸出を考えるべきなのだ。しかし、サンマ業界の足並みがとれず、身動きがとれていない。そうこうしているうちにサンマも減ってしまうだろう。チャンスの女神には前髪しかないのである。

90年代以降のサバ漁業は80年代のマイワシとは根本的に違う。食用のサバが不足した状態で、ほとんどのサバが最低グレードで浪費されているのだ。サバの行き先は、水揚げコンディションと大きさで決まる。

  1. 寿司屋、料亭などの高級食材→600g以上→枯渇
  2. スーパーや魚屋の一般鮮魚→450g以上→ノルウェー
  3. スーパーの特売用の鮮魚→350g以上→ゴマサバ
  4. 缶詰、削り節などの加工品→250g以上→ゴマサバ
  5. 養殖のえさ・中国アフリカ輸出→250g以下→マサバ

一番下のグレードにしかならない0歳1歳でサバを獲り尽くして、中国に輸出しているのだ。頭が痛くなるぐらい、バカな獲り方だ。

img09070307

下の図は、2001年のサバの用途別漁獲量である。みんながみんなそういう獲り方をしているわけではないんだけどね。



(↑詳しくは、http://katukawa.com/2007/07/post_160.html

80年代のマイワシ漁業は、良質のマイワシを安価で豊富に供給していた。消費者にメリットのある価格破壊である。一方、現在の日本のサバ漁業は、価値が出る前に魚を獲り尽くし、まともな魚を供給できていない。これは、価格破壊ではなく、価値破壊である。

魚価が安いのは消費者のためか?

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日本の水産資源には、大変高い価値がある。にもかかわらず、日本の漁業は利益を出せない。漁業者は、魚の値段が安すぎると愚痴をこぼしている。確かに、日本の魚の浜値は涙が出るほど安い。サバの場合、ノルウェーから輸入するとキロ単価が260円、銚子の平均単価は50円~70円だ。では、このような安い浜値は、消費者の利益になっているのだろうか。俺は、全くそうは思わない。

魚の値段が安い理由は、次の2つが考えられる。

1)質が高い魚を、安く売っている
2)質が低くなるようなとりかたして、値段相応で売っている

銚子の漁業者が、260円の価値がある魚を50円で売っているなら、消費者にとって、ありがたい話である。でも、もしそうなら、日本の商社がノルウェーから260円のサバを買ってくるはずがない。日本の漁業者が水揚げする、小サバには50円の価値しか無いのである。大きくしてから、旬に獲れば、日本のサバはノルウェーのサバに勝るとも劣らない。ちゃんと獲れば、260円以上の価値がある魚を、90年代は40円の養殖の餌にしていた。最近は、中国に輸出して、80円(送料を引いて50円)になったといって、喜んでいるのである。

現在、銚子の大型巻き網船が水揚げしているのは、0歳1歳の小型魚である。養殖の餌か途上国に輸出するかの二択である。乱獲によって、価値が出る前に獲り尽くしているのである。食用の日本のマサバを必要としていて、かつ、高い値段を支払う日本人は食べるサバがない。一方で、安ければ何でも良い養殖魚や、中国人にサバをたたき売っているのである。日本のサバは、世界最低の値段しかつかないような、世界最低の漁業なんだけど、それをあろうことに、水産庁の人間が「日本のサバ漁業の価格競争力は世界一でございます」と開き直る。これは全くの詭弁である。価値のある魚を安く提供しているのではなく、価値が無くなるようなとりかたをして、限りある資源を無駄にしているのだ。

もちろん、養殖の餌も必要だろうが、低水準のマサバ資源を使う必要は無い。北巻の連中は、90年代には「養殖の餌も食糧供給に需要だから、小さいサバも必要だ」とか言ってたくせに、最近は「中国のほうが10円も高く買うのだから、輸出は、全く理にかなった経済的行為でございます」とか、コロッと言うことが変えるから、呆れてしまうね。目先の利益のみを追求し、後付けで、屁理屈をこねて正当化しているだけだ。そもそも、養殖の餌になるようなサイズのサバを獲ること自体が、経済的に合理的じゃないだろうに。

もちろん、価値がある魚を安く提供している良心的な生産者も存在する。子供たちに美味しい魚を食べてほしいから、採算度外視で、安く給食に魚をおろしている生産者もいるが、例外的な存在である。ほとんどの場合、質が高い魚を安く提供しているのではなく、安くしか売れないような無駄な漁業をしているのである。そして、魚価が安すぎると消費者に逆ギレをするのだから、どうしようもない。税金を食いつぶしながら、限りある自然の生産力を破壊する無秩序漁業で得をする人間などいない。価値がある魚を安定供給して利益を出す漁業の方が、消費者にはよほど利益がある。

利益が出る漁業とは?

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急がしてレスが遅れてしまいましたが、行政、流通、漁業者のお三方が、興味深い書き込みをされていたので、私見を述べたいと思います。

県職員さん
「多く獲る」ことに対する競争意識をなくし,資源を「少なく獲って」いかに「利益」を増やすか,合わせて資源を「いかに増やすか」の部分で競争してもらうよう頑張らねば。

さかなやオヤジさん
これを推進するにはハッキリ言って「高く買う」以外方法はありませんね。
確かに現状でも、その魚の扱いなどである程度差別化が出来ることもありますが、
うまく行っても1割2割高どまり。
扱いの悪い(または普通と言いますか)魚との差が2倍くらいになれば、漁業者も気づくはずです。
本来、ブランド化というものはそういうところから派生してもらいたいんですが、
皆さんご指摘の「組合」という集合体の中で意見すれば全てがブランドと言うことになる。
良い扱いをした魚を高く買い取り販売していく、と言うのが私の理想です。
少しずつですが、実現に近づいています。

県職員さん
漁業経営は簡単に言うと 
利益=漁獲量×単価-経費
ですので
漁業者が「利益」を増やすためにはいろいろ考えられる方法があると思います。
まず「経費を削減する」,
そして「高い魚を獲る(高級魚を獲るという意味ではなく,小型魚を獲らず大きくなってから獲る)」「ブランド化(ブランド化しなくてもきっちりとした取り扱いをする事なども含まれる)などによる差別化を図る」「6次産業化に取り組む(漁獲した魚で加工品を自ら作成し販売する)」
「漁獲量」を増やすために「資源量を増やす」

勝川先生がおっしゃっている事ですよね。

沿岸漁業の一漁師 さん
>品質と供給が安定させれば

うちの地元はそのための経費やコストがもったいないという状況ですね

>3)魚価を上げること(安売りをしないこと)
『安売り=良心的』、『価格転嫁・真っ当な対価報酬の要求=守銭奴』という概念が染み付いちゃっていますからね・・・・・・・・・。

県職員さんのご指摘の通り、漁業利益=漁獲量×単価-経費であります。漁業先進国の漁業者は、漁獲量を控えめ・安定に保ち、単価を上げる戦略をとっています。一方、日本の漁業者は、ブランド化で単価の上昇を期待しつつ、漁獲量を増やして、経費を減らす戦略をとっています(まあ、戦略なんてレベルではありませんが)。漁業先進国が収益を着実に伸ばしているのに対して、日本は壊滅的にじり貧です。なぜこのような差が生じるかというと、漁で勝負する漁業というのは、EEZ時代以降は、ビジネスモデルとして破綻しているからです。

現在の人間の漁獲能力は、魚の生産力を大きく上回っている。この状況で、皆が多く獲ろうとすれば、必然的に資源が減少する。資源が減少すると、価値が高い大型魚から姿を消し、単価の低い小型魚しか獲れなくなる。短期的な漁獲量を増やすと、長期的な漁獲量と魚の質が減少するのです。さらに、漁業者が早獲り競争をしていると経費が増えます。先ほどの漁業利益の式に当てはめてみれば、漁獲量が減って、単価が下がり、経費が増えるのだから、儲かるはずがないのです。

日本の漁業者は、獲れるときに、獲れるだけ、獲ります。これを皆がやると、必然的に漁獲が漁期はじめに集中することになる。これが更なる単価の下落を招くのです。鮮魚市場の大きさは限られていますから、水揚げが集中すると、単価はてきめんに下がります。特に、産地市場では、トラックの大きさを超過して水揚げをして、ゴミになることも、少なくないわけです。

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売り上げは、単価×漁獲量ですから、次のようになります。

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価格を維持しながら、ほどほどに獲った方が利益が出るわけです。魚がきたら、皆で獲りまくり、値崩れをさせながら、あっという間に獲り尽くすというのは、最低・最悪の獲り方です。市場が必要とする漁をコンスタントに供給した方がよほど利益がでるのです。例えば、上のモデルで魚が80尾いたとします。1日で水揚げすれば、80×20円=1600円の売り上げにしかなりません。40尾ずつ、2日に分けて獲ると売り上げは3倍になります。

40尾×60円×2日=4800円

10尾ずつ8日に分けると、売り上げは更に増えます。

10尾×90円×8日=7200円

持続的に漁獲できる量は限られているのだから、それをできるだけコンスタントに、市場に供給できるように努力をすべきです。ほとんどの漁業で、獲りすぎる日を無くして、漁期を長くするだけで、価格は上がります。日本の漁業者は、「今日捕れる魚を明日に残さないのが漁業者だ」とか、「親の敵と魚は見たら獲れ」といった考えが骨の髄までしみこんでいますが、こういう考えで海に出ているうちは、どうしようもないですね。

よく言われることですが、マイワシの豊漁で倉を建てた人はいません。みんながドカドカ水揚げしているときには単価がつかないからです。80年代のマイワシのように、資源が豊富であれば、多く獲るのもやむを得ないかもしれませんが、低水準のサバを、1000トンも2000トンも、まとめて水揚げするのは、全く愚かな行為です。その愚かな行為を税金で支えているのだから、日本の漁業は衰退して当然でしょう。

つづく

エジプトに鯖輸出

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YOUTUBEで、エジプトへのサバ輸出の番組を発見。
これは、なかなか、貴重な画像です。
去年、放映されたのか。全然知らなかったよ。

http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/20th3/

日本から来たサバは、現地の川魚より安いって・・・

日本のサバは、安さ世界一ィィィィィ
日本の漁業は、価格競争力世界一で、誇らしいです。
水産庁の日ごろの努力の結果ですね。

安さ世界一で、ニッポン投げ売り計画は、順調に進んでいます。

 銚子・波崎地区では冷蔵庫の新設が計画を含めて相次いでおり、
今後も需要の拡大が見込めそうで、これが魚価を支え、
魚価が高ければ入港する漁船が増える
-こうした理想的な好循環が銚子・波崎で起きているといえそうだ。

また、中心魚体が250-300グラムの中で、時折マサバの500-600グラムも混じるようになり

税金で燃油補填をして、未成魚の輸出をサポートして、国民にどんな利益があるんだろうね。

参考リンク
http://blog.livedoor.jp/kamewa/archives/51195357.html

スケソウやサバ、漁獲可能量見直し 「資源守る基準超す」と批判

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 水産庁は、漁獲可能量(TAC)を見直す方針を固めた。TACの大半が、資源枯渇を防ぐ目安となる生物学的許容漁獲量(ABC)を上回り、専門家の批判の対象になっているためだ。ABCを上回るTACを設定する傾向は以前から続いており、サバは漁獲量がTACを超えたこともある。こうしたTAC設定の理由について、水産庁は「漁業者の経営が成り立つかどうかも考慮している」と説明するが、専門家は「資源管理が機能していない」「TAC設定の根拠が不透明」などと問題視していた。
 近く発足するTACのあり方を議論する会合では、ABCを超過するTACをできるだけ解消する方向で、より厳格な資源管理の方策を議論する。また、漁獲総量がTACに達した時点で操業を打ち切る現在の管理方式は、総量に達するまでの間、漁業者間の過剰な漁獲競争を招く恐れも指摘されており個別の漁業者に漁獲枠を割り当てる方式の導入も検討する。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/85241.html

北海道新聞の記事です。一般紙でも、資源管理の話題が出るようになりましたね。
誰だか知らないけど、専門家はGJだな。

これは、わかりやすくまとめられている、良い記事だとおもいました。
1)ABCを超過するTACをできるだけ解消する方向で、より厳格な資源管理の方策を議論する
2)オリンピック方式からIQへの移行も検討する
という結論に関しても妥当ですね。実際にABCとTACの乖離を少なくする方向で動いているようです。
(ただし、現在のTACにあわせてABCを上げる圧力が強まっているので注意が必要です)
また、IQの導入も時間の問題でしょう。オリンピック方式を続ける理屈がないですから。

ゆっくりではありますが、資源管理をちゃんとやろうという方向に世の中は動いています。
だから、資源管理反対派は相当に焦っているようですね。
「ABCなんて無視しても良い」と吠えている人もいますが、ごく少数です。
言っていることが支離滅裂だし、世間の支持は得られていないので、放置しておけば良いでしょう。

TAC制度に関しては、導入の経緯からしてグダグダだったので、
最初の数年は資源管理として機能しないのはしょうがない面もある。
ただ、TAC制度が始まって10年が経過しているのだから、
「制度として未完成である」などという言い訳はさすがに通用しない。
「(A)今までは管理できていなかったけど、これからはまじめにやります」ということであれば、
過去についてはとやかく言っても仕方がないでしょう。
しかし、「(B)今までもTAC制度は機能していたし、これからも同じようにやります」と開き直るなら、
過去に遡って、TACの設定根拠の妥当性が徹底的に追求せざるをえない。
俺としても、日本の漁業をどうやって良くしていくかを前向きに議論していきたいので、
(A)のTAC制度をきちんと見直すという方向でお願いしますよ、本当に。

今回の見直しには世間の注目が集まっているので、いい加減なことは出来ない。
逆に、ちゃんとした見直しをすれば、水産庁の株はぐっと上がるはずだ。
特定漁業者の顔色ばかりをうかがわずに、
納税者全体に対して、水産庁の存在意義を示して欲しい。

サバも養殖ですか。餌は小サバ?

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若狭のサバ 養殖で復活…福井・小浜市の県立大水産資源生物学研究室
 かつて若狭湾でとれた魚介類を京都まで運んだ「鯖街道」。だが、材料は実のところ、ノルウェーなど外国産のサバが多いのだ。
 「やっぱり、小浜といえばサバ。おいしい地物の若狭のサバを復活させたい」。県立大生物資源学部海洋生物資源学科の青海(せいかい)忠久教授(58)は1999年の同大学赴任をきっかけに、サバの養殖研究に乗り出した。
 若狭のサバ 福井県内のサバ類の漁獲量は、1970年代、80年代はおおむね2000~4000トンで推移していたが、95年以降は毎年650トンに満たず、2004年はわずか54トンにまで激減している。県は08年度に復活推進事業として、嶺南4か所でマサバの育成を始める
http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/20080401kk04.htm

マサバの未成魚を養殖の餌として乱獲して、資源を枯渇させたのだけど、
サバが獲れなくなったから、今度は養殖ですか。
なんともシュールですなぁ。餌が小サバだったりして。

サバを養殖するより、サバの未成魚をブリ養殖の餌にするのを止めた方が、
環境にも消費者にも幸せな結果をもたらすと思う。
ただ、資源管理がまるでできていない現状では、
生簀に囲い込む以外に大型魚を安定供給する方法が無いから、
こういう方向に行くのはしょうがないのかなぁ。なんか切ないです。


 

サバ産地、ノルウェーを千葉県産に

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表示ミス:サバ産地、ノルウェーを千葉県産に--神奈川・小田原の水産会社
 神奈川県小田原市の水産物加工会社「イチコー」が、製造したサバの干物のパック商品について、「ノルウェー産」を「千葉県産」と表示していたことが分かった。小宮社長は「ノルウェー産のサバは千葉県産に比べ二倍以上も仕入れ値が高い。高いサバを損をしてまで売るわけがない」と産地偽装を否定。千葉県産と思って買った消費者には「本当に申し訳ない」と話している。
http://mainichi.jp/life/food/news/20080311dde041040003000c.html
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiimar0803253/

サバに関しては、ノルウェー産を千葉産と偽る理由はどこにもないので、これは本当のうっかりミスと思われます。2枚380円でノルウェーのサバを売ったら、大赤字だろうし。この値段でノルウェー産のサバを買えた消費者はむしろラッキー。この加工は、高価な原料を安い値段で売ってしまった上に、新聞で偽装と叩かれて、踏んだり蹴ったりだな。疲労したアルバイトを深夜まで働かせたツケは高くついたと言うことでしょうか。

北洋シンポ

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北洋シンポの発表をアップしました。
ライブではなく、スタジオライブです。

今回もマサバを例に日本の乱獲をDISしているのですが、
「沿岸は沖合と別物だから、分けて話をしてくれ」というコメントがつきました。
本当に、沿岸漁業はここで指摘しているような過剰競争&乱獲とは無縁なのでしょうか?
俺には、沿岸も沖合も50歩100歩にしか見えないのですが・・・

ヨーロッパのサバ漁業

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ノルウェーのニシンとサバがMSC申請

-Two Norwegian fisheries have applied to be assessed for certification under the Marine Stewardship Council’s (MSC) standard for sustainable and well-managed fisheries. If successful the Norwegian Spring spawning herring fishery and Norwegian North East Atlantic mackerel fishery will be to display the distinctive blue MSC eco-label on their catch.
“Recently an initiative was taken by the Norwegian Fishing Industry to undergo a full assessment of both Atlanto-Scandic fisheries for herring and mackerel to be caught by Norwegian fishermen in the forthcoming season.
The aim of the assessment is to have these fisheries certified under the MSC- standard,” says Knut Torgnes, Sales Director of Norges Sildesalgslag.
http://www.sildelaget.no/ShowArticle.aspx?idx=ENGNyhetsartiklerActive&ArticleId=23334

Knutさんは、Bergenでノルウェーのオークション・システムについて説明してくれた浮魚漁業組合の人だな。ニシンとサバでMSC申請とは、ノルウェーも頑張ってますね。MSC申請をするような漁業がどういう管理をされているか、興味がある人も多いだろうから、ヨーロッパのサバ漁業資源について簡単にまとめてみた。(26分 22MB )

小サバの乱獲で、加工業者が廃業の危機らしい

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2/15日には、「サバ水揚げ減少に悲鳴、静岡加工連など水産庁に陳情」という記事があった。マサバの未成魚を中国に輸出しているために、産卵場である銚子以南のマサバ漁業はほぼ壊滅。静岡の加工業者、産地出荷業者、関連業者は打撃を受け「廃業する業者が増えている」というのだ。サバの未成魚を海外に投げ売りしてきた当然の結果である。

漁業で生活しているのは魚を捕る人だけではない。加工する人、流通する人、小売り業者、そして、消費者までが漁業というシステムに取り込まれている。漁業システム全体の利益を増やすのが、国の水産政策のあるべき姿だとおもう。しかし、水産庁のやっていることは、全く逆だ。未成魚を乱獲している一部の漁業者が、あぶく銭を手にする一方で、その他の漁業関係者は廃業に追い込まれているのだ。もし、未成魚を中国に投げ売りする代わりに、十分な大きさで漁獲をすれば、加工・流通・小売り業者は皆利益を得ることが出来る。

0歳1歳で獲っているサバを、3歳4歳で待って獲れば、500g-700gの国内で需要が高いサイズになる。3年間に個体数は3割に減少するが、体重が3.3倍になるので、全体の漁獲量としては変わらない。180gのサバと600gのサバでは浜値はまるで違う。加工されてスーパーに並べば、1尾300円、場合によっては500円にもなる。仮に300円としても3尾で900円の経済利益になる。この利益を漁業者と後方(流通・加工)で分けることになる。 ざっくり計算しても、国内の経済効果は10倍になる。さらに、素性のたしかな、国産の美味しいマサバの供給量が増えれば、消費者も大喜びだ。

体重
個体数
重量
漁業売上
後方売上
合計
小サバ
180g
10尾
1800g
90円
0円
90円
中サバ
600g
3尾
1800g
250円
650円
900円

海の生産力は限られている以上、そこからいかに利益を引き出すかが重要になる。獲る技術よりも、経済価値を加える技術が重要なのだ。 高く売れる魚を持続的に漁獲し、価値をつけて売ることが、儲かる漁業の条件だ。世界で有数の利益率の高さを誇るノルウェー漁業は、殆ど付加価値をつけてない。加工技術がないので、丸のまま冷凍で売るしかできないのだ。日本には、魚食の知恵と加工技術がある。、ノルウェーのような魚の獲り方をして、日本独自の加工をして売れば、ノルウェー漁業に必ず勝てる。しかし、一部漁業者の乱獲のせいで、せっかくの加工技術を活かすことが出来ないばかりか、加工技術自体が失われようとしている。 取り返しのつかない事態が進行中だ。

納税者が小サバと中サバのどちらの獲り方を望んでいるかは、議論の余地がないだろう。日本のサバを未成魚で乱獲して、中国に投げ売りして欲しいと思う日本人などいないだろう。素性のたしかな国産魚を日本人向けに安定供給することこそ、国益である。そのために、産業規模に比べて不相応な予算が水産業に割かれているのである。

にもかかわらず、水産庁は小サバの輸出事業を税金で進めているのである。小サバを輸出している漁業者は軒並み赤字で、補助金で支えられている状態だ。「マサバ太平洋系群回復計画」と称して、未成熟なサバを乱獲するための油代を税金から払っているのである。中国で小サバをPRする事業まで国がやっているのだから、至れり尽くせりだ。赤字を垂れ流しながら、資源を徹底的に痛めつける漁業を保護して、金の卵である水産資源と貴重な加工技術を荒廃させている。それを「回復計画」などと呼ぶのは、ブラックジョークだろう。本当にマサバを回復させたいなら、未成魚の漁獲は禁止すべきだし、それが出来ないなら補助金をばらまくのを辞めるべきだ。

水産庁のやっていることは、自分たちと関係の深い一部の漁業者の短期的利益のために、国の食料供給の未来を奪おうとしているようにしか見えない。 水産学の専門家として、自国の漁業がこんな有様であることに対して、恥ずかしい限りである。専門家の一人として、静岡の加工業者さん達には、申し訳ない気持ちで一杯だ。未来の世代が美味しくて安全な日本のサバを食べ続けられるように出来ることをやるしかない。しかし、時間はあまり残されていない。 90年代以降、マサバ太平洋系群の生産力は非常に高かった。92年,96年,04年,07年と15年間で4回も卓越年級群が発生した。乱獲のせいで全く資源回復には結びつかなかった。マサバの高い生産力は餌のカタクチイワシが豊富だったからだと考えられている。そのカタクチイワシが減っているのだから、しゃれにならない。上の記事と同じ2/15のみなと新聞に、「カタクチイワシ、水揚げ、かつて無い少なさ」との記事があった。これは実にやばいサインだ。マサバを0歳から獲りまくっている現状で、加入の失敗が続けば、あっという間に資源崩壊だろう。浮魚は自然変動するから、幾ら獲っても構わないという珍説が日本ではまかり通っているが、そんなことはない。実際に、北海のサバ資源は80年代に乱獲で消滅しているのだし、北海道のニシンだってほぼ壊滅している。このままだと、マサバが沿岸性のローカル資源になってしまうかもしれないということで、俺は焦っておるのです。

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