その努力は方向が違わないか?

ログをチェックしていたら、
「ノルウェー 資源管理 失敗」 で検索をして、このサイトにたどり着いた人がいた。
ノルウェーのあら探しをしていたら、正反対のサイトにたどり着いてしまって残念でした。

ノルウェーのあら探しをしても、日本漁業には何のプラスにもならないと思う。
同じ時間を使うなら、ノルウェーの良いところを学んで、
日本にも取り入れるための努力をした方が建設的だろう。
maffが大好きな米国よりも、ノルウェーの管理の方が機能しているんだから。

水産庁のノルウェーの漁業政策に関するレポートは
http://www.jfa.maff.go.jp/gate/noruwe.pdf
なかなか良くまとまっている。
コレを読むとますますノルウェーをマンセーしたくなってしまう。

「ノルウェー漁船の船齢は高く、かつ年々上昇する傾向にある」という記述は、
ノルウェーの実情を知る人からは、はなで笑われてしまいました。
ノルウェーの漁船は最新で古くなった船はオランダなどに売られているそうです。
特に大型船は常に最新のものを使っているということですよ。
この部分に関しては、情報を集め直した方が良いかと思います。

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サイエンス・ゼロ雑感

サイエンス・ゼロは、見ましたか?
image07091901.png
なかなか良い仕上がりでしたね。
見損ねた方は、是非、再放送をご覧ください。

大きく3つの話題がありました。
1)マサバの乱獲
2)エコラベル
3)海洋環境を調べることから、魚の保護につなげようという研究

マサバに関しては、クロ現と重なる部分も多かったですね。
俺の画像も使い回しだし(笑
新たに撮った神奈川水試の調査風景はグッドでした。
一般の人にも調査の現場の雰囲気が伝わったのではないでしょうか。
そこで、マサバの年級群が単純化しているという話から、
ノルウェー→俺とつないで、最後にスタジオの渡邊先生という流れ。

俺の登場は一瞬でしたね。まさに、チラッとでただけ。
「ちゃんと獲り残せば、回復するという期待はある。」
「大切なことは、充分な親を確保すること」
という2点は俺が言いたいポイントであり、
良い部分を抜粋してもらったと思う。

渡邊良朗先生が、番組のわかりやすさに大きく貢献していた。
渡邊先生のコメントは、説得力があるんだよね。
テレビにむかって、「うんうん」とうなずいてしまったよ。
メッセージは明確だし、立ち位置もぶれないし、
一般の視聴者にもわかりやすかったと思います。
スタジオは渡邊先生と聞いたときに、グッドな人選だと思ったのだが、
予想を上回るグッドコメンテーターぶりでした。
マサバ漁業の危機的状況がお茶の間に伝わったことでしょう。

エコラベルについても良かった。
MSCは認証費用がバカ高いので、営利目的などという批判もあるが、
世界的には着々と進みつつある。
それだけ需要があるということだろう。
さて、日本初のMSC申請ということで、京都府のズワイガニが紹介された。
京都のズワイガニは個人的に応援している漁業です。
俺が修士の学生の時に、松宮先生のところに、京都の水試の人が会いに来た。
「とにかく資源管理の効果を評価して欲しい。厳しい結果が出ても構わない。
必要なデータは出来るだけ集める。」と言う話だった。
俺は「まじめに資源管理をしようという人が日本にもいるんだ」と感銘を受けたのだ。
その流れで書かれた論文がこれ。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003144786/
松宮先生が亡くなられてから、接点はとぎれてしまったが、
陰ながら、京都府の取り組みは応援をしています。
番組でも、資源管理の取り組みが詳しく紹介されていて嬉しかったです。
こういう漁業こそ紹介すべきだと、前々から思っていました。
目の付け所が良いですね。

最後の海洋環境に関するプロジェクトは、ちと微妙かな。
こういったプロジェクトが、魚の保護につながるかは疑問です。
海洋環境によって、魚の生産力は変わるけれど、現在の乱獲はそれ以前の問題。
未成熟のうちに獲り尽くすような漁業は、
どのような環境条件であっても正当化されません。
そういう明らかな不合理漁獲を放置したまま、
海洋環境と資源変動の関係に多額の予算をつかっても、
「資源減少は地球温暖化が原因である」というアリバイ作りにしかならない。
海洋環境と資源変動の研究例はすでに山ほどあるけれど、
実際の資源管理には殆ど使われていないという現実がある。
本気で海洋環境の情報を資源管理に役立てようと思ったら、
現在までに得られた情報をどうやってつかうかを考えるのが先でしょう。

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全国資源評価会議の争点

今回の会議の争点は、マサバの07年級ぐらいかな。
北巻業界は「07年級は、04年並の卓越年級群として計算しろ」と要求する。
07年級も、0歳から巻く気満々である。
それに対して水研側は「情報が不十分な段階で楽観的な数字は出せない」という判断だ。

自分たちが、「未成魚獲りきり漁法」で資源回復の芽を摘んでおきながら、
とても高圧的で、ビックリする。これが「北巻クオリティー」。
TACすら守ってないくせに、良く言いえるものだ。
「最近、TACとABCの乖離が某新聞の連載やNHKのテレビ番組などで批判にされられているが、
それは水研が保守的なABCを出すせいだ。
保守的なABCを出す担当者は、今後名指しで批判をするぞ」などと
恫喝をする漁業関係者まで出てくる始末。

俺はサバの資源評価とは無関係なので、傍観をするつもりだったのだが、
北巻業界があんまりに勝手なことばかり抜かしているので、次のように言ってきた。

「現在、マサバ太平洋系群は、04年級と07年級しか居ない。
04年級はもっても来年までなんだから、
その次の卓越が出るまで07年級群を大切にしないといけない。
この状況で、07年級に楽観的な予測をしないのは当たり前である。
捕った魚は戻せないけど、捕らなかった魚を後で捕ることはできるし、
そのほうがサバ漁業全体としては、儲かるんだから。
そもそも今の段階で0歳の年級群豊度を議論すること自体がナンセンス。

例えば、ノルウェーのサバは2002年が卓越年級群だった。
この年級を今年から獲り始めるということで、徐々にTACが増えていく見通しである。
5年も猶予があれば、取り始める頃には年級群の大きさはわかっているから、
精度が良くTACを設定できる。
ノルウェーのように適正な大きさになってから取り始めれば、
資源評価の精度は格段に上がる。
大きくしてから獲った方が儲かるんだから、
水産庁もそういう方向で指導をして欲しい。

本来サバは0歳魚の資源評価なんてやらなくてもよい魚種であって、
こんな無駄な議論をしていること自体がばかげている。
サバの資源評価精度が上がらないのは、研究者の責任ではなく、
考え無しに0歳から獲りまくる業界の責任である。」

質疑応答の時間の関係で俺の発言が最後になったんだけど、
まあ、質疑が続いたところで、まともな反論は出来ないだろうね。

ゴマサバの時に、静岡の漁業者から、
「自分たちは、99%はゴマサバを獲っているが、
サバ類としてTACがまとめて設定されているために6月以降は漁業が出来なかった。
これは理不尽なのでなんとかして欲しい」という意見があった。
これは、早急になんと対応すべき課題だと思う。
今は、マサバが少なくてゴマサバは多い。
ゴマサバを主体に獲っているなら、漁獲規制は本来必要ない。
現在は、ゴマサバとマサバをまとめて、サバ類としてTACを設定している。
北巻が小サバを巻きまくった結果として、
漁獲を続けても問題がないはずの漁業者にしわ寄せが行っている。
ゴマサバとマサバは全く別の種なんだから、別々にTACを設定するのが筋である。
一刻も早くゴマサバとマサバのTACを分離すべきであろう。

サバは面白くなってきましたよ!
ということで、15日のサイエンスゼロをお見逃し無く。
http://www.nhk.or.jp/zero/schedule/index.html

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平成19年度全国資源評価会議

今日は全国評価会議というのに来ています。
TAC対象種の資源評価の内容をまとめて公開をするのだ。
会議は今日と明日の2日間。
今日は、マアジ、サバ、マイワシで、明日はスケソ、スルメイカ、ズワイ、サンマ。
俺は、サバ、マイワシ目当てで、今日だけ参加することにした。
サバの04,07系群が評価票でどう扱われているのか、
マイワシの期中改訂についてどのような資源的な裏付けがあるかに注目。
会議は公開なので、面白いネタがあればここでも取り上げたい。

場所は霞ヶ関の農水省の講堂。実は農水省に行くのは初めてだったりする。
外から見ると海洋研とどっこいの古い建物だが中は、かなり金をかけて改装してある。
ちょっと差をつけられてしまった。

会議自体は平和すぎて、眠くなるぐらい。
どうやら、この会議は討論の場ではなく、事後報告会のようだ。
ごたごたはブロック会議でやっているから、もう良いのだろうか?

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管理方式のまとめ

それぞれの管理方式によって、漁業を異なる方向に導くことを延々と説明してきた。
今までの内容をまとめてみよう

ダービー方式は、漁業者間の早どり競争を引き起こす。
漁業者はスタートダッシュでより多く獲るために設備投資を行うので、漁獲能力は更に過剰になる。
IQ方式は、早どり競争を緩和するので、漁業者は魚価をあげるために設備投資が出来る。
ただ、IQ方式には、過剰な漁獲能力を削減する機能はないので、
すでに漁船が過剰な状態では「みんなで貧乏」な漁業しか実現できない。
過剰な漁獲能力を削減するためには、漁獲量を譲渡して減船をする制度を導入する必要がある。
ノルウェー型の譲渡可能IQ方式なら、漁獲枠に見合った規模まで自動的に漁獲能力を削減できる。
漁船の維持に費やされるコストを削減できるので、収益性が増し、競争力が高まる。
売買を自由にしたITQ方式(ニュージーランド型)では、
利益率の高い経営体に漁獲枠が集まり、経済効率を向上できる。
限られた生物の生産力から、最大の収益を得るという観点からは優れているが、
漁業が企業化・大規模化する代償として、社会的平等性は失われる。

image07091201.png

 
ダービー方式からiTQまで、様々な管理方式を比較したが、
これらの管理方式はTACをベースにしている。
生物の持続性を損なわないようにTACを設定することが大前提だ。

TACをABC以下にするという前提があって、これらの資源管理は成り立つのである。
慢性的にABCを遙かに上回るTACを設定している日本のTAC制度は、
ダービー(オリンピック)方式ですらないのである。
日本のTAC制度は資源管理ではなく、乱獲を容認する道具に過ぎないのだ。

乱獲放置状態の日本漁業は、ダービー方式と同じような方向に進んでいる。
過剰な漁獲能力による早獲り競争が、過剰装備と漁獲物の小型化を招く。
単価は下がる中で、少ない魚を我先に奪い合うようになる。
ダービー方式と無管理の違いは、資源の持続性が守られるかどうかである。
ダービー方式では、過剰競争で生産力が低下した漁業が、
産業として成り立たなくなるのは時間の問題である。
漁業はいずれ滅びるだろう。でも、資源は守られるのである。
無管理では、資源を道連れにして漁業が滅びるだろう。

管理方式のまとめ 

資源の持続性 早獲り競争緩和 過剰漁船の削減 経済的最適化
無管理(日本)
ダービー方式 +
IQ(譲渡無し) + + 0 0
IQ(譲渡あり) + + + +
ITQ + + + ++

 

 

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そんなに心配なら、ITQの譲渡に制限すれば良いんジャマイカ?

ITQ制度には次のような効果が期待できる
1)過剰な(無い方がよい)漁獲能力を削減できる
2)収益性の高い経営体に漁獲枠を集めることで、漁業の経済性が向上する

一方で、ITQによる弊害を心配する声も根強い。彼らの描く未来像は、こんな感じだ。

より利益を出せる経営体によるITQの買収が進み、漁獲枠の寡占化を引き起こす。
「漁業者は漁獲枠を売ることが出来るが、漁獲枠を買うことができるのは企業だけ」という事態になる。
大企業化した漁船は、大きな港のみに水揚げをするようになり、地方の港、加工は衰退する。
漁獲枠を寡占した経営者が、従業員に漁業をさせながら、利益だけを得る。
漁村は寂れ、漁業者の小作化が進むことになる。

要するに、古き良き漁業が、利益至上主義の経済行為となってしまうことを心配しているのだ。
確かに、ITQにはそのような側面があることは否定できない。
漁業を投機対象にすることには社会的な懸念があるだろう。
(まあ、今の日本漁業の生産性では、投機の対象外であり、それよりはマシだと思うが・・・)
譲渡を制限することで、この問題はある程度回避可能である。
漁獲枠の所有は漁業従事者に限ることにすれば、漁業の小作化は回避できる。

経済的効率と社会的平等のどちらを重視するかによって、譲渡に対する制限が決まってくる。
経済的効率を重視して、譲渡の制限を少なくしているのが、ニュージーランドとアイスランド。
社会的平等を重視して、譲渡を厳しく制限しているのが、ノルウェーである。

● ニュージーランドのITQ制度

ITQは、TACCに対する割合で設定されている。
例えば、1%の漁獲枠を持っている人間は、商業漁獲枠が100万トンであれば1万トン、
100トンであれば1トンの漁獲が可能となる。
一つの経営体が所有できる漁獲枠には10%~45%の上限が設けられている。
ニュージーランドのITQ制度は、独占の弊害が出ない範囲で、最大限に譲渡を許容している。
寡占化の弊害よりも、経済的な最適化を重視しようという考え方だ。

ニュージーランドのように、漁業は経済行為と割り切ることが日本で出来るはずがない。
ただ、今のような非効率的な漁業システムを多額の税金を投入して支えていくのも無理だろう。
幾ら漁業者に補助金をばらまいたところで、漁業を支える資源がもたないことは明白だ。
そこで参考になるのがノルウェーのITQ(もしくは、譲渡可能IQ)制度だ。

● ノルウェーのITQ(もしくは譲渡可能なIQ)制度

高木委員への反論材料として水産庁が「ノルウェーの漁業と漁業政策」という資料をまとめている。
これを読めば、ノルウェーの漁業政策がいかに合理的かが一目瞭然なのだが、
いまのところ水産庁のサイトにアップされているのを発見できない。
これをネタに、いろいろと書きたいことがあるから、早くアップして欲しいものだ。

ノルウェーでは、漁獲枠を船に割り振っている。
IVQ(Individual Vessel Quota)というシステムだ。
これによって、漁業者間の早取り競争を回避している。
また、制限付きの漁獲枠の譲渡を認めることで、過剰漁獲能力の削減にも成功している。
ノルウェーで許容されている譲渡は以下の3つである。

UQS(Unit Quota System)
2隻の漁船を所有する漁業者が、一方の漁船を漁業から撤退させる場合、
当該漁船を売却する場合には13年間、スクラップにする場合には18年間、
創業を継続する漁船により2席分の割当量を漁獲できる制度。

SQS(Structual Quota System)
2004年より沿岸漁業を対象に導入。
2005年からは、沖合・遠洋漁業の対象(UQSから移行)。
同種の許可を受けた2隻以上の漁船を所有する会社が、
1隻を漁業から撤退される場合(撤退する漁船のスクラップ処分が要件)、
当該漁船が受けてた漁獲割り当てを、操業を継続する同社の漁船にうつすことが出来る制度。

QES(Quota Exchange System)
2004年より沿岸漁業を対象に導入。
2人の漁業者が協力して操業する場合に、特定の期間に限り、
1隻の漁船により二入の行啓の割当量を漁獲できる制度。

ノルウェーでは、沿岸漁業から、大規模漁業までこれらの譲渡制度が完備されている。
その結果として、過剰な漁獲能力の削減をすることができた。

現在の人間の漁獲能力は生物の生産力を遙かに凌駕している。
例えば、かつてのアラスカのオヒョウ漁は1年間の割り当てを24時間で消化していた。
このような状態では、のこりの364日間は漁船が遊んでいることになる。
漁船を維持するには莫大なコストがかかるので、それだけ無駄が生じることになる。
二人の船主が共同で操業をすることにして、1隻を廃船にすれば、船の維持費は半分で済む。
船を減らして、漁獲枠を集めれば、それだけ手取りは増えるのである。
もちろん、共同経営をするかどうかは、個人の自由である。
貧乏でも船の主でありたい経営者は、そのまま漁業を続ければよい。
ノルウェーの場合は、多くの漁業者は経済性を高める道を選んだのである。

この譲渡制度の素晴らしいところは、
借金漬けの赤字経営体が、漁獲枠を譲渡して漁業から撤退できることだ。
日本の漁業は、かつて右肩上がりであった。
儲けがでても税金でとられてしまうので、漁業の利益は設備投資に回すのが常識だった。
それどころか、漁業者は借金をしてでも設備投資をしてきたし、国もどんどん融資をした。
この拡張主義の漁業は、右肩上がりで漁業生産が伸びることが前提であった。
しかし、70年代に入って、EEZが設定されて漁場が狭くなると、漁業生産が減少に転じる。
資源が減ったとしても、漁船を維持するために漁獲量を確保しなくてはならない。
借金をして設備投資をしてしまったので、「魚が捕れないから辞めます」という選択肢はない。
借金を抱えて撤退もままならない経営体が、赤字を減らすために獲って獲って獲りまくる。
その結果、資源が枯渇すれば、健全な経営体はどんどん減っていく。
借金漬けの赤字経営体は、補助金による水産振興という誤った漁業政策のツケである。
小サバを初めとする小型個体の乱獲は、どう見ても経済的な価値を産み出さない。
将来の収入減を考えたら、明らかな赤字である。そんなことは、獲っている人間は百も承知だろう。
現在の日本の漁業制度では、これらの債務超過の経営体には他の選択肢は無いのである。
漁獲量を減らせば、即破産→夜逃げコンボが待っていたら、獲るしか無いだろう。
今の漁業政策を続ける限り、この問題は解決しない。それどころか、酷くなる一方だろう。

もし、ノルウェーのような個別漁獲枠譲渡制度が完備していたらどうだろうか。
船自体に価値が無くとも、船に付随する漁獲枠には借金をチャラにする価値は生じる。
債務超過の経営体は漁獲枠ごと船を売却して、借金を清算して、漁業から撤退できるのだ。
漁獲枠を譲渡した船を確実にスクラップ処分する制度があれば、過剰漁獲能力の整理は進むだろう。
漁獲枠譲渡制度は、去る漁業者にも、残る漁業者にも、メリットがある。
こういう制度を整えた上で、漁獲枠を絞っていく必要があるのだ。

今の状態で、漁獲枠の総量を絞っても、漁業は成り立たないだろう。
中の空気はそのままで風船を小さくするようなものであり、風船が破裂するだけだ。
早急に空気が抜ける道を整えてた上で、漁獲枠の総量を絞っていくべきだろう。
日本漁業に残された時間はそれほど無い。

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サイエンスZERO 9月15日 食卓から魚が消える?

サイエンスZERO 9月15日 食卓から魚が消える?

詳しくは、ここをご覧ください
http://www.nhk.or.jp/zero/schedule/index.html
なんか、あれも、これもと詰め込みすぎで、焦点が定まっていない感じがするが、
放映を待つことにしましょう。
今回のスタジオは渡邊先生で、収録はもう終わってるらしい。
俺も例によって、ちょっとだけ出るみたい。

イワシやサバなど日本人に馴染みの深い魚が世界的に激減し、近い将来、食卓から消えるかもしれない。 昨年秋、科学専門誌「サイエンス」は、2048年までに天然の魚介類が壊滅する可能性があるとの論文を掲載した。気候の周期的な変化など、減少の原因は様々だが、魚種によっては、繁殖能力のある親魚ばかりか未成熟の稚魚まで獲りすぎてしまうことも原因の一つとして考えられている。

とりあえず、Wormらの2048年漁業絶滅説を持ち出すのは止めて欲しい。
まじめに資源管理をしている国の漁業は無くなるはずがないんだから。
どう考えても、ノルウェーのサバは安泰だよ。

京都のズワイガニに着目したのはグッド。
こういう事例こそは紹介しないといけない。

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ITQ(譲渡可能個別割り当て)方式

ITQは、IQ同様に個別に配分した漁獲枠を金銭による譲渡可能にした方式である。
この譲渡可能性が経済的な最適化、特に過剰漁獲能力の削減に大きな役割を果たす。

個々の漁業者で、経済性は大きく異なる。
船を出しても赤字の漁業者もいれば、確実に利益を出す漁業者もいる。
同じ量の漁獲枠であっても、得られる利益は漁業者によって大きく異なるのだ。
例えば、1トンの漁獲枠から100万円の利益を出せる漁業者Aと、
同じ漁獲枠から10万円利益しか出せない漁業者Bが居るとしよう。
漁獲枠が譲渡不可能であれば、漁業全体で2トンの漁獲量から110万円の利益となる。
もし、漁獲枠が譲渡可能であったらどうなるだろうか?
1トンの漁獲枠は漁業者Aには100万円の価値がある。
一方、漁業者Bには10万円の価値しかないので、
漁業者Aは、漁業者Bの漁獲枠を10~100万円の価格で買い取るだろう。
例えば、50万円でBの漁獲枠をAに売却したとしよう。
この譲渡によってAが得た利益は、売り上げ増から漁獲枠購入費用を引いた50万円
この譲渡によってBが得た利益は、漁獲枠売却益から、本来の売り上げを引いた40万円
漁業全体の利益が110万円から200万円に増えるのである。

ITQでは、漁獲枠当たりに利益が高い経営体に漁獲枠を集めることで、
資源の経済的有効利用をはかることができる。

さて、漁業者Bの立場になってみよう。
漁獲枠を漁業者Aに売った方が、自分が獲るよりも利益が出る。
ということは、船をもっていても無駄になるわけだ。
船の維持費はバカにならない。現に船の維持費を稼げない経営体も多数存在する。
漁獲枠を譲渡した方が利益になるような経済的に劣った経営体は、
漁獲枠を永久に譲渡して、船を処分するだろう。
こうして、利益率の高い経営体に漁獲枠が集まる一方で、
利益率の低い経営体は撤退をすることが可能である。
儲かる部分を残して、漁獲能力の削減が可能なのだ。

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ITQのまとめ
1) 漁獲枠を個別に配分することで早捕り競争を緩和する(IQと共通)
2) 利益率が異なる経営体の間で漁獲枠の譲渡が発生する
   i)   譲渡によって、双方が利益を得る
   ii)  譲渡によって、漁業全体の利益が増える
3) 利益率の低い経営体は、漁獲枠を譲渡して漁業から撤退する
   i)  過剰な漁獲能力が自動的に削減される
   ii) 利益率の高い経営体のみ残るので、合理化が進む

書いてて、思ったけど、やっぱりITQは良い。
過剰な漁獲能力と枯渇した資源の日本漁業が生き残るためには、
消去法的にコレしかないんじゃないかな。
オリンピック方式(笑)は論外として、IQでも漁業全体が共倒れになる可能性が高い。
ということで、今後もITQのすばらしさを伝導していこうと思う。

さあ、みなさん、ご一緒に

ITQ!! ITQ!!
ITQ!! ITQ!!

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姉さん、事件です!

クリームパンの中にクリームが入ってませんでした!

ルボアの中の人が入れ忘れたっぽいな・・・orz

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残された問題 ~過剰な漁獲能力~

IQ方式の限界
IQ方式には、既に過剰な漁獲能力を削減する機能はない。
資源に対して、過剰な漁獲能力が存在する状況でIQを導入しても、
資源の生産力と漁業者の数のアンバランスは解消されない。
漁業者と比べて資源水準が低い現状では、たとえ単価を向上させたとしても、
漁業経営は厳しいものにならざるを得ない。
過剰な漁獲能力(図の灰色の部分)を維持するためのコストもかかる。
もちろん、無駄な漁獲能力を肥大させる無管理やダービー方式は論外であるが、
過剰な漁獲能力を削減できないIQ方式では、まだ、不十分なのだ。

税金による漁獲能力削減(漁船買い上げプログラム)
漁獲能力を削減するには、税金で船を買い上げて、減船をするのが日本では一般的である。
漁船の買い上げには莫大な費用がかかる上に、効果は限定的である。
漁船の買い上げ制度が固定化すれば、いざとなれば税金で買い取ってもらえばよいので、
漁業者はどんどん設備投資をするようになる。

漁船買い上げ制度は、費用は掛かるばかりで、管理効果は疑問である。
たとえば、1998-99年に240億をかけて130隻のまぐろ漁船の減船が実施された。
1隻当たり2億円かかったが、漁獲圧を削減する効果は限定的であった。
結局、過剰な漁獲能力をもてあまし、ミナミマグロの不正漁獲を引き起こしてしまった。
中途半端な減船では、ほとんど漁獲圧の削減にならないぐらい、現在の漁獲能力は高いのである。

漁獲能力削減に秘策あり!
実は、税金を使わずに、過剰な漁獲能力を削減する方法がある。
個別に割り振った漁獲枠を譲渡可能にすることだ。
要するに、ITQの導入である。
ITQを導入した漁業では、適正水準まで船の数が自動的に減っていくのである。

そして、ITQへ・・・

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