マサバの小型魚輸出の問題や、土木工事に偏重する予算など、様々な問題がわかりやすく整理されていたと思います。
俺の発言は4つ 。俺の発言の意図をくみ取った上で、適切な利用をしてもらったと思う。
次のような質問に答えた部分から抜き出したものだ。
Q:漁業者が減っているという話だが?
A:漁業者が減っているから、漁獲量が減っているのではない。魚がいないから、漁獲量が減る。そうすると生活が成り立たないから、新規参入者が閉め出され、結果として高齢化と漁業者の減少が続いているのです。このまま漁業が衰退していけば、漁業者が減って漁業が成り立たなくなるか、魚が減って漁業が成りたたなくなるか、のどちらかでしょう。まあ、最終的にどちらになるかはわかりませんが、一つ言えることは明るい未来は無いと言うことです。
Q:日本とノルウェーの違いはなんですか?
A:2つの大きな違いがあります。一つは、漁獲枠をあらかじめ船に配分する。自分の枠は一年でどう使おうとその人の自由。他の漁業者よりも早く獲る必要が無くなれば、無駄な競争を抑制しコストを削減できます。、もう一つは漁獲を自然の生産力以下に抑えることです。そうしなければ持続的な漁業生産は期待できません。
Q:日本のサバ漁業の問題点をまとめてください
A:日本のサバは適正サイズになる前に二束三文でたたき売られている。非常に残念なことだと思います。
Q:日本漁業の戦略にどのような問題点があるのか
A:戦略に問題があるというより、日本の漁業には戦略がないのです。とにかく魚を多く捕ることしか考えてこなかった。限りある自然の生産力を有効利用するという視点が欠落しています。ノルウェー漁業と日本漁業の違いは、戦略がある国と戦略の無い国の違いです
俺が例によって、小サバ輸出を痛烈にDISしたあとに、例によって水産庁の言い訳が入る。
「日本の場合は漁業の種類がものすごくたくさんあって、
それぞれ個別の割り当てをモニターしていかないといけない。労力もコストもかかる」
日本漁業は他国とは違うから、資源管理はできません、というおきまりのパターンだ。
日本の漁業は多様なら、その多様な漁業を管理する努力をすべきなのに、何もやっていないじゃないか。
たとえばノルウェー漁業のサバの漁獲枠を見てみよう。
http://www.sildelaget.no/kvoteoversikt.aspx
16種類の漁業に個別に漁獲枠が配分されている。
水産庁が主張するように、日本には漁業の種類がたくさんあるなら、
少なくともノルウェーよりは漁獲枠を配分する漁業の種類を増やす必要があるだろう。
では、現状はどうなのか。日本では大臣許可と知事許可の2つにしか分かれていない。
最低限、ノルウェーと同じレベルの漁獲枠配分の細分化をしてから、こういう主張をして欲しいものだ。
それぞれの漁業をモニターするにはコストがかかるのは当然だ。
ノルウェーはコストをかけて、日本とは別次元のモニタリング体制を確立している。
その上で、しっかりと利益を出しているのである。
端から資源管理などやる気がなくて、
日本漁業の独自性とやらを、資源管理をしない言い訳につかっているに過ぎないのである。
どの国でも、その国独自の漁業はあるわけで、他国と違うのは当たり前だ。
日本の独自性云々を持ち出す人間は、日本以外の国の漁業はすべて同じだと思っているのだろうか。
あと、俺の肩書きが準教授になっていたが、正しくは助教だ。
ちゃんと「助教」と書いてある名刺を渡したはずなんだけど。
助教を助教授と勘違いしたのかな???
これはスタッフのうっかりミスでしょう。
俺がノルウェーで獲ってきた画像が使われていました。
メモ代わりにハンディカムで撮ったものなので、
テレビ放映に耐えるような画質ではないんだけど、無いよりはマシでしょう。
今度行くときは、三脚をもっていって、まじめに撮ってこようかな。
今回の番組は良くできていた。俺も出演して良かったと思う。
ストーリーとしてわかりやすかったし、その場その場で出てくる画像も適切だった。
サバに関しては、小サバの輸出を止めて、国内鮮魚向けに大きくしてから獲れば、
漁業者にも消費者にも利益があるというような説明が欲しかった。
まあ、時間も15分と短い中で、そこまで論じるのは難しいかもね。
詰め込みすぎて消化不良になるより、シンプルなストーリーの方が良いかもしれない。
オンエアーまではいろいろと不安もあったが、俺的には大満足の良い番組でした。
引き続き、漁業の情報を報道してもらえるとうれしいです。